法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

スーパー堤防が事業仕分けされたことを、内容を無視して洪水のたびに流しているNETGEEKの問題

他のまとめブログやバイラルサイトもくりかえしているが、ここまで手抜きだと何ともいえない。
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上記のような風説が流布されつづけているためか、東日本大震災を報じてきた林智裕氏のようなライターも、公共事業が仕分けられた意味をかんちがいしている。

公共事業費を減らしていたのは民主党政権以前だというkongyouguai氏の情報を受けて、事業仕分けが公共事業への抑圧を強化したと論じるのは、情報が読めていない。


とりあえず、id:tasukuchan氏が紹介する実際の議事録を読めば、民主党政権を批判できる材料として弱いことがわかるだろう。
「スーパー堤防」がなぜ廃止になったのか、議事録から追ってみよう!
スーパー堤防だけが治水の方法ではないという指摘もあるし、すでにスーパー堤防が作られた地域とそうでない地域の優先順位がおかしいという指摘もある。
特に、結論近くで蓮舫氏がぶつけているふたつの疑問を見れば、先日からの西日本の豪雨災害を防げるものではないと明らかになる。

200年に1回の災害が来るかもしれないからスーパー堤防を整備したい。200年に1回というのは明日来るかもしれないから、百歩譲ってその前提は納得するんですが、そのために400年かからないと全部完成しない、それで今から12兆かかる。これは、現実的な話だと本当にお考えでしょうか。

上記はスーパー堤防の問題としてよく指摘されている。たしかに将来を見こした遠大な計画を立てることは正しいが、それが他の目前の治水よりも優先されるべきことなのか。
さらにつづけて蓮舫氏が指摘した部分で、むしろスーパー堤防のような計画では、広範な災害を防げないのではないかと実感される。

他方で、奄美のような本当に悲惨な水害で本当に町ごと大変なことになってしまっている。今、スーパー堤防をやろうとしているところは、二子玉川沿いを視察に行かせていただきましたけれども、既に堤防が整備されて、その上でまちづくりという機会があれば、更にスーパー堤防化しよう、ダブルで大切にしている。

つまり、住宅、人口密集地だからやりたいという思いはわかるんですが、優先順位が違うと私は思うんですが、いかがでしょうか。

議事録の全体を読んでも、もちろんコストカットしたい意識はうかがえるが、治水につながる土木計画のすべてを否定しているわけではない。
むしろ首都圏の、それも大規模事業を進めやすいところを優先している問題が指摘されている。極端にいえば、スーパー堤防推進は九州四国の防災軽視と表裏一体だ。


そもそも、予算配分をおこなう仕分けそのものは、過去から現在までおこなわれている。民主党政権が違うのは、議論の内容を広く公開したこと。
できるだけ情報を公開して、その評価で賛否両論を起こすこと。できるだけ情報を隠蔽して改竄して、否定的な評価を避けること……もし前者より後者が政権維持につながるようでは、民主政治が機能しているとはいえない。制度の脆弱性だ。