”イケメン”になったアジア人俳優は何と戦っているのか?:“代表”なくして視聴なし 前編
日本に住む日本人はテレビや映画、CMやポスター、雑誌などで毎日のように日本人役者、モデル、アーティストなどを見ている。つまり、「魅力ある存在としてアジア人が描かれている様子が見たい!」というポジティブなレプリゼンテーションに対する「飢え」がないのだ。
「人種という点でレプリゼンテーションに満足している」日本人の視点は、そういった意味ではアメリカ社会における白人の視点に近い。だからこそ海外のホワイトウォッシング議論も「原作に忠実であるべきか」「原作の発祥地である日本人は気にしているか」という点だけがとらえられがちだ。
多くの「日本人」は、日本国内において多数派であり、社会的強者である。
だから人種的にも社会的にも、少数派として文化を奪われるというイメージがわかない。
多数派が少数派の文化を引用したり演じるにとどまらず、少数派自身が表現する仕事を奪うというイメージもわかない。
一側面や創作部分が全体と混同され、偏見につながるという恐れも国内においては考えにくい。
ゲームキャラクターでデフォルメされたマイノリティが抗議した事例があったが、多くの「日本人」には無縁だった。
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そこで日本の、それもインターネットにおいて、社会的弱者の少数派と自認しているだろう集団といえば、いまだオタクがそうだろう。
戯画化したオタクしかメインカルチャーに登場せず、偏見をもたれていた時代も長かった。
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公式に契約した実写化作品すら、しばしばオタク文化を軽視しつつ利用して大金をかせいでいるとして嫌われる*1。
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そして公式な契約をむすばず、オタク文化を引用して名前をあげたとされる表現者を考えて、現代アートの村上隆氏が思いあたった。
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もちろん実際の村上氏はオタク業界と完全に分断されていたわけではない。
デザインの立体化は著名なフィギュア原型師が担当しており、その内幕が模型雑誌で特集されたりもしていた。
それでもオタク的なモチーフを使った作品が話題になっていた時代、よく反発されて、今もその傾向が残っていることもたしかだ。
竹熊健太郎氏と村上隆氏『オタクはなぜ村上隆を嫌うのか?』 - Togetter
*1:もちろん、実際にスタッフが軽視しているか否かは別の問題となるが。