法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season16』第12話 暗数

黒ずくめの男ふたりに衣笠副総監が襲撃される。4年前の脅迫状とあわせて、7年前に一斉検挙したウエボ神義教団の怨恨かと思われた。
そして衣笠と密談していた青木が教団へ情報を流したと疑われる。しかし特命係は家政婦の態度に引っかかりをおぼえる……


山本むつみ脚本だが、悪い意味で真野脚本かと思った。橋本一監督もふくめてseason15第11話*1とスタッフが共通し、ゲストだった副総監の娘を再登場させながら、あまり連続性が見られない。
唐突な設定をいくつも出しては使い捨てて、解決編でも新たな情報を後出しして解明。その新情報も、違う立場で同じような犯罪被害を知っている偶然に無理があるし、警察関係者の立場なら同じ被害でも違う結果になったのでは。さらにサブレギュラーとして育ちつつあった俳優まで使い捨ててしまった*2
また、「暗数」をめぐる現代的な社会派テーマ*3の選択そのものはいいとしても、カルト宗教による復讐という派手な出来事が前景にあるので、メッセージ性は後景のまま印象を薄めてしまった。カルト宗教が検挙された理由にも社会派テーマがかかわっていたくらいの設定はして、物語のコンセプトにからめてほしい。教団の襲撃と過去の脅迫状に関連性がないまま物語が終わるとは思わなかった。


それとも今回ぽっと出のカルト教団ではなく、過去から何度も登場した反政府組織の赤いカナリアをからめていたら、連続ドラマらしい印象が生まれたかもしれない。
赤いカナリアはシリーズをとおして武装闘争をやめているが、7年前に組織の分派が検挙されたというくらいの描写なら矛盾はないはず。

*1:『相棒season15』第11話 アンタッチャブル - 法華狼の日記

*2:これは俳優が退場しなければならない何らかの裏事情があったのかもしれないが。

*3:まだまだ山口敬之氏の事件は終わっていないし、世界的にも「MeToo」のムーブメントが起こっている。