おおむね全話見た作品を、いくつか五十音順で。
『アイカツスターズ』
『アイカツ!』のように主人公が全てを切り開いていくのではなく、すでに先をいっている前世代を追っていくという物語世界の広げかたが好み。作画もCGも技術の蓄積があって、安心して見ていられる。いまのところ2期目も楽しんでいる。ただ、主人公の超常的な能力が、身の丈にあっていない才能として切り捨てられたことだけは、もう少し綺麗に処理してほしかった。
『アイドル事変』
制作会社MAPPAは信頼できる。何よりも、予想や期待を超えて政治寓話としてていねいだった。流行語大賞のトップテンにも入った「日本死ね」が、女性活躍推進政策への皮肉だという文脈を、きちんと把握できていたエピソードが特に印象的。各エピソードで主人公が到達した結果を、敵対する与党が説得的な策略で崩してしまう終盤の構成も感心した。そのうえで「お花畑」な理想論の大切さをうたう世界観も好ましい。
『あいまいみー 〜Surgical Friends〜』
たしかに監督が語っていたように百合ホラー要素が増していた。中盤の回想回は原作より(?)も泣けた。しかし何より通り魔説教との仲良しぶりが一番笑えたのはハイコンテクストすぎでは。
『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』
安っぽいがゆえに愛おしさが生まれるタイプのGONZOアニメ。各話のパロディが予想以上にバラエティがあって、ひとつの元ネタにたよっておらず、意外と間延びせずに楽しめた。脱衣モチーフなゲームを原作としたオタク題材アニメにしては、意外と性的にべたついていないのも見やすい。
『エルドライブ【ēlDLIVE】』
少年漫画原作らしい連続ストーリーを、わずか1クールしかアニメ化しなかったため尻切れトンボ。美少女キャラクターの性的サービスも異星人のデザインも全体的に古臭い。印象に残ったのはカット割りの演出だけかな。
『CHAOS;CHILD』
前作ゲームのTVアニメ化は予想範囲内ながらどんでん返しが効果的だったが、それに比べて主人公や周囲に隠されていた真相が弱すぎる。
『ガヴリールドロップアウト』
異世界からやってきた人物が現代文化にとけこむというパターンを、天使の堕落という導入から展開。しかし堕落した天使は他者とかかわりを持ちたがらないし、他の天使や悪魔は現代文化とかかわる前から性格が変わっていないので、ドラマとして動かない。結果として現代のトラブルに巻き込まれるサブキャラの悪魔をイジメるばかりの内容に……
『クズの本懐』
繊細な質感を重視した止め絵表現は良かったし、泥沼のような人間関係の連鎖に最終回で決別した主人公たちの態度も良かった。そうした連鎖が、他者の人格を尊重する大人ひとりだけで断ち切られたことも、納得しつつも笑えた。ただ、そういう大人キャラクターにしては女性へのボディタッチにためらいがないことが、情景の演出のためだとしても気になった。
『けものフレンズ』
シンエイ動画で育った視聴者としては、たとえ線の密度は簡素であっても、適切なアイレベルとロングショットで提示された風景は見ているだけで楽しめる。少人数での3DCG制作という制限ゆえに、全体を通して演出レベルが安定していた。物語については、ドラマや設定の伏線や回収をていねいにやっているという以上の感動はないけれど。
『この素晴らしい世界に祝福を!2』
序盤で落としきった主人公の生活が安定したかと思ったら、その余裕をもって主人公が行動して作品世界を広げつつ、主人公を異世界に導いた女神のキャラクターをほりさげるエピソードで最終回。意外なほどシリーズ構成がきちんとしている。キャラクターデザイナーの絵柄を前面に出した、ラフで肉感的な作画も好印象だが、視聴者には不評意見が多いようで残念。
『小林さんちのメイドラゴン』
ファンタジー落ち物アニメに見えて、いかにもクール教信者原作アニメらしく、現在の幸福をかみしめつつ、それが途切れる予感を恐れる、そんな日常ドラマとなっていた。異世界の美少女をひきうけるのが社会人の女性だったり、その能力と収入をもって生活環境を守ったりと、ちょっと現代的なリアルに寄せたがゆえの珍しさ、見やすさもある。
『スクールガールストライカーズ Animation Channel』
よくある学園バトルアニメに見えて、その息抜き回だけをよりぬいて1クール放映したかのような味わいがあった。どれほど深刻なテーマに近づいていっても、肩透かしするように日常に回帰する不思議。嫌いではないが。
『にゃんこデイズ』
猫をマスコットキャラクター的に擬人化する意味が最後までつかめなかった。猫であることの意味が薄まっただけとしか思えなかった。もっと猫ならではの行動やドラマを楽しみたかったが、ショートアニメでは難しいのか。
『ハンドシェイカー』
線や動きの密度を上げても、それが等分であっては、映像全体として単調になるだけだということを痛感した。『けものフレンズ』の正反対。ただ、薄く単調な物語に無駄に豪華な映像というとりあわせが、極まりすぎていて逆に楽しくないでもなかった。
『南鎌倉高校女子自転車部』
主人公を自転車で楽しませるためだけに脇役が機能している場面が多くて、まるで自転車推進パンフレットをアニメ化したかのような世界観に最後まで乗れなかった。中盤のレースが特にひどくて、主人公チームに脇役があっさり協力したあげく、踏み台になった後でフォローとなるドラマがない。
『Rewrite 2ndシーズン』
前半のMoon編は、作者が自分で理解できていない言葉を主人公に語らせているかのような描写ばかりで、見ていて気恥ずかしかったし、美少女キャラクターと和解するために年長女性に悪役をわりふる展開も納得できない。後半のTerra編は、対立する組織を主人公が利己的にわたりあるいて目的をとげるアンチヒーロー的な楽しさはあったが、それにしては主人公にとって優しすぎる内容だったのが残念。
『霊剣山 叡智への資格』
西澤晋監督に交代して、一気に作品全体の統合性が増した。望遠レンズ的なレイアウトの統一感が特に素晴らしい。ピカレスクロマンを極めて、大衆を思い通りに誘導した挙句、その成果をあっさり投げすてる主人公の非道ぶりも、きちんとコンセプトに筋がとおっているから楽しく見ることができた。