全話を視聴して完結した作品の一部を、五十音順で。
いくつか他の作品も言及したかったし、考えがまとまらない作品もあるが、それで先のばしにして記憶が薄れても困るので、とりあえず適当に書いておく。
『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-2nd』
わりと作画はガタガタだったし、2期で機能しない登場人物を増やしすぎたし、1期で肩透かした人物がやはり黒幕という真相もつまらなかったが、それもふくめてクオリティがはねあがる以前の懐かしい深夜アニメの雰囲気は楽しかった。
『あまんちゅ!』
頭身こそ高いが、水に濡れた状態のリアリティより、アニメキャラクターとしての一貫性を重視したビジュアル。佐藤順一監督らしい、踏みこめるところを踏みこまずライトに楽しませる、そんな気軽な作品。これはこれで良い。
『アルスラーン戦記 風塵乱舞』
ようやく過去にアニメ化した範囲を超えたと思った瞬間に終了。まさか1クール作品ですらないとは。こうして見ると、主人公の動機がちゃぶ台返しされて終わった過去のアニメ化が、むしろ寓話として完結できていたように感じてしまう。
『アンジュ・ヴィエルジュ』
違う世界の少女同士の愛憎劇で、日常シーンは常に風呂、戦闘シーンは痴話喧嘩、そんな割りきりは凄かった。無駄なくコンセプトを貫きとおした素晴らしさがたしかにある。
『クオリディア・コード』
安っぽくて雑なビジュアルが足を引っぱり、明かされた真実の情景にリアリティが感じられない。どんでん返し自体も新鮮味はないし、傲慢ポンコツ異能バトルアニメのまま軽く終えても良かったのでは。
『この美術部には問題がある!』
すごく真正面からの学園ギャグに、少しのラブコメを混ぜて展開。全体を通して映像も安定していたし、物語の連続性もしっかりしていて、初回で期待した範囲には楽しませてくれた。
『SERVAMP‐サーヴァンプ‐』
導入にはもたつきも感じたが、主人公の性格も結論も好ましい。誤解を恐れずに言えば、マイルドな『血界戦線』としてライトに楽しんだ。ノブレスオブリッジの気高さと限界を描いた回想回が印象的。
『食戟のソーマ 弐ノ皿』
2期ではあるが、ほとんど分割3クール目といった印象。ビジュアルでは原作を忠実に再現しつつ、細かな描写をていねいに取捨選択し*1、原作の最新展開にかかわる伏線を入れるという、ある種の理想的な映像化ではあった。
『SHOW BY ROCK!! しょ〜と!!』
かわいさだけを詰めこんだ幸福感に満たされる。それでいて、かわいさにも色々あるのだな、と男性バンドの醜態を観ながら思った。
『タイムトラベル少女〜マリ・ワカと8人の科学者たち〜』
昨年の音楽映画ベストテン*2に選んだ『NITABOH 仁太坊 津軽三味線始祖外聞』の制作会社による教養アニメ。あいかわらず教養アニメにしては現代的なビジュアルで、古臭さを感じさせない。タイムスリップして偉人の偉業を知るというベタな手法だが、どこまでも地味な一歩を偉業として着目する良さは珍しい。アニメ終了後の実写による再現実験や、公式ツイッターの遊びなども楽しかった。
『タブー・タトゥー』
構成する要素のひとつひとつは上質で、それゆえ視聴中は楽しめたが、世界観のスケールやコメディとシリアスの配分に不協和音を感じてしかたなかった。シリアスかコメディに偏らせれば、もっと楽しみやすかったと思うのだが。
『91Days』
構成する要素のひとつひとつが上質で、それゆえ視聴中は楽しめたが、なぜか視聴後に何も残らなかった。トリックスターを早めに退場させた判断は良かったし、ひりつくような復讐心を描ききったのも良かったし、映像も物語も文句はないのだが。
『七つの大罪 聖戦の予兆』
映像ソフトや単行本の特典OVAでやるようなエピソードばかり。『アルスラーン戦記 風塵乱舞』よりさらに短い、つなぎ話でしかなかった。気軽な人間関係は本編より好きだけど。
『NEW GAME!』
1コマだけ流布していた「がんばるぞい!」が作中でも変な台詞あつかいで、そこからあんな状況につながるとは知らなかった。それをふくめて、意外と上層部のホモソーシャルなドラマに尺が配分されて、新人な主人公のドラマが弱めで残念。まあ主人公視点で物語を進めるとブラック感が強くなっただろうけど。
『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』
主人公が精神的に増長をつづけながら環境に不満をいだきつづけるだけで終わったのは、1クールのTVアニメとしてどうなのだろう。主人公のゆらぎを見せない段階で緊迫感ある戦場を見せたいなら、撤退戦でのいくつかの描写のように、周囲のキャラクターにスポットを当てるつくりにすべきでは。
『バッテリー』
部活動という将棋盤の上のドラマではなく、部活動という将棋盤に上がる過程のドラマ。子供社会を描く少年漫画とは違って、子供をとおして社会を描く児童文学の系譜。そう理解すれば佳作だが、ちょっと原作が古いためか、イジメ問題の後処理の軽さなどは気になった。
『不機嫌なモノノケ庵』
借金でしばられてアウトロー稼業を手伝うという題材は古臭いが、ひょうひょうとした主人公の性格と、ぎりぎりまで善性を信じる世界観のおかげで、ライトに最後まで楽しめた。多くの原画を海外にまかせた作画の意外な安定感や、3DCGで描画されたモノノケの違和感なさなど、ビジュアル面の安心感も他にない。
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』
3期目は並行世界冒険譚を展開して目先を変えつつ、主人公の決断も行動も王道で良かったが、黒幕だけはキャラクターがベタすぎてつまらない。あと、原点となったゲームの台詞を自己パロディのように多用した決戦は、楽しくはあったが気恥ずかしくもあった。
『魔装学園H×H』
少女をH行為でパワーアップさせて敵と戦わせるという、しょうもないセクシーアクションアニメ。スケベな作画にまったく力が入っておらず*3、手描きのバトル作画にばかりこだわりが感じられて、バカアニメとしての突き抜けも足りない。
『魔法少女?なりあ☆がーるず』
リアルタイムで制作する刺激で楽しませる番組だったらしいが、GYAO!で視聴していたため面白味が伝わらず。同じスタッフワークの過去作品は、単独でもそれなりに楽しめたものだが。
『モブサイコ100』
『ワンパンマン』スタッフがボンズに合流して、ただでさえ極まった作画に、TVアニメで毎回のようにアレクサンドル・ペトロフの手法をつかうという狂気。OPの亀田祥倫も筆ペンを使った手法をデジタル処理して新時代を見せてくれた。正座しながら制作者に感謝の念をささげるばかり。
『ラブライブ!サンシャイン!!』
いろいろ雑だったり勢いまかせだったりした無印の展開を、キャラクターひとりひとりが機能するように再演。だから無印で困惑を呼んだミュージカル演出を劇中アドリブライブに組みかえた最終回も感心しきりだった。それが少なくない視聴者の不評をかったらしいことが不思議でならない。
『Re:ゼロから始める異世界生活』
名探偵の行動は善意の第三者からは容疑者にしか見えないという問題提起は良いし、物語を進めるための設定的な制約すら道具にする試行錯誤はよくできている。しかし2クール目に入ってつまづく展開は、1クール目後半で克服した問題と思っていたので、主人公に試練を与えるための逆向きの御都合主義に感じられた。客観を意識して演じて、それでもつまづくような失敗を見せてほしかった。
『Rewrite』
エロゲー界隈にうとい人間としては、原作に忠実と評されるTVアニメや、ライターが脚本を手がけたアニメを見るたび、かつてKeyが人気を集めていた理由がわからなくなるばかり。映像面での良さも足りない。
*1:TVアニメ『食戟のソーマ 弐ノ皿』で太平洋戦争のゴボウ都市伝説が削られていた - 法華狼の日記
*3:チームおくさま劇場の仕事ぶりは楽しかったが、それは別作品とのコラボレーションによる面白味だ。