懐古という域を超えて謎のTVアニメ化だった『暴れん坊力士!!松太郎』から一転して、最新の少年漫画をTVアニメ化。SFっぽいイメージを学園物に混ぜたり、主人公の異能力を示すために不良を配置したり*1、『少年ジャンプ』作品なのに『少年サンデー』を思わせる導入だった。
原作未読のおかげで、あくまで視点人物と思っていた主人公三雲修が、それなりの力を隠し持っていたことには驚いた。しかもそのまま敵を倒すわけではないというバランスの面白さ。異世界側の主人公空閑遊真の、倫理観を全く持っていないキャラ付けも悪くないが、設定的には不思議でないつくり。現代日本の延長で生きながら、異様に倫理的な三雲修のキャラクターは面白い。
この枠らしく、制作は東映アニメーション。しかし本郷みつる監督に吉野弘幸シリーズ構成、キャラクターデザインと総作画監督に海谷敏久と、東映らしからぬメインスタッフを外から呼んでいる。
作画監督は袴田裕二で、原画陣も東映らしいアニメーターが入っていたが、絵作りは東映らしからぬシャープさ。本郷監督作品らしく、起伏は少ないかわりに安定して綺麗な作画が楽しめた。アクションもまずまず動いている。原作の良さが大きいだろうが、背景に巨大な建造物が映りこみ続けるコンテも良かった。
ただ、冒頭の設定説明が長すぎるのはマイナス。物語まで起伏が少なめで、淡々と段取りを消化していくのは悪い意味で本郷監督らしい。