法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キラキラ☆プリキュアアラモード』第9話 キラパティがあなたの恋、叶えます!

せっかく開店したものの、まったく客が来ないキラキラパティスリー。そこであちこちに移動して、客の呼び込みもすることに。まずは幼稚園近くの公園で呼びこみを始めたが……


脚本としてクレジットされている黒須美由記は、東映に限らずアニメで見たことのない名前。検索してみるとTBS連ドラ・シナリオ大賞の一次通過者に同姓同名がいるが、新人だろうか。
今回は一話完結フォーマットが完成した初回だが、良いと感じたところがほとんどない。幼いころの遠足で少しだけ優しくしてくれた女子に、大人になってからクッキーをわたして告白しようとする発端からしてきつい。もっとゆっくり距離を縮めていけばいいのに、菓子で問題を解決するという作品フォーマットのため展開が性急すぎる。
あるいは、遠足で違う幼稚園の女子に助けられた男子がお礼のため探しているといったドラマにしてもいい。無理に時間を飛ばして大人になってからのロマンスを展開するシナリオが、子役を信頼しない実写ドラマのようだ。
さすがに告白がいきなり成功する結末にはならなかったが、それならば途中でいろいろとツッコミを入れる描写もできたろう。


また、作品フォーマット自体の問題も感じた。パティシエが5人もいて、他人に積極的にかかわりたがるのが宇佐美しかいないから、残り4人がひとまとめに描写されて個性が殺されている。これがスーパー戦隊などであれば現場の裁量や俳優の存在感で、物語では機能しないキャラクターでも個性が発揮されることもある。しかし大半が架空のアニメならば意識的にキャラクターの個性を描きつづけないと印象が埋没してしまう。
5人そろってのアクションは、キュアカスタードの体をひねるようなアニメーションが目を引いたし、それぞれの技を連携しての防御などが良かったが……ドラマ部分の難点を補えるほどではない。