法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キラキラ☆プリキュアアラモード』第8話 キラパティオープン…できません!

キラキラパティスリーの開店に向けて、いちかたち全員が奮闘する。責任者は変身した長老が演じて、さらに調度品を整えるためキラキラルを使うが……


渡邉慶子作画監督を初めとした、東映では珍しい作楽クリエイト制作回。やしろ駿*1コンテで、箱庭を作るための小さな騒動をかわいらしく見せていく。
最初はバラバラに行動して失敗し、きちんと連携することで成功するという、よくある教訓話……に一見すると感じられるが、最初の失敗でも立神と剣城が協力していたりと、ただ仲良くなることが素晴らしいという物語とは少し違う。
漠然と個別に動くのではなく、きちんと全体のビジョンを見すえて、それぞれの個性を発揮することで目標を達成できる教訓話ととらえるべきだろう。
その個性を引きだすため、新しい登場人物の組みあわせを描き、キャラクタードラマとしても楽しめる。有栖川の買い出しに剣城がつきそった場面などは予想外に良かった。ひとり周囲から距離をとっている琴爪は、予想通り冷静に他者を評価しつつ、対比的に宇佐美への特異な愛着が際立つ。
そんな物語の流れで、キラキラルの特性をわかりやすく描写したことも感心した。まだ敵妖精の最終目的は不明だが、それでも争奪戦の対象として充分な万能ぶりと感じられたし、プリキュアへの変身や敵妖精の怪物化につながる設定として説得的。今作はスローペースではあるが着実に番組フォーマットを固め続けており、今回のように一見すると脇道なエピソードでも無駄とは感じさせない。


ただ、ひとりひとり違うスイーツを食べたいという要求への回答として、これまで登場した菓子をひとまとめにケーキへ乗せるという結論は安易で残念だった。
子供向けに総まとめ復習の意味があるのだとしても、菓子全体を乗せるのではなく、ケーキを土台に動物の顔だけを乗せて、フードペンの練習と位置づけるくらいで良かったのでは。