『化物語』等で知られる新房昭之監督、もしくはその影響下にある演出家の表現主義は、制作会社の名前をとってシャフト演出と呼ばれがち。
ASCII.jp:新房監督のアニメ論 「制約は理由にならない」 【前編】 (1/4)|渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」
アニメに詳しい人なら「新房昭之監督」「シャフトの演出」に一家言あるかもしれない。
グラフィックデザインのようなポップな色づかい。めまぐるしく変わるカットがあったかと思えば、何秒もポーズを変えずにしゃべりつづけるキャラクターが登場する。早口のセリフがポンポン飛びかい、次のシーンでは静かなモノローグと叙情的な光景が……。そんなトリッキーな演出が何よりの魅力だ。
しかし新房演出は、制作会社がタツノコプロだったダークヒーローアニメ『The Soul Taker〜魂狩〜』でほぼ現在のかたちにかたまっていた*1。
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その新房演出を特徴づける要素の一部、特に人工的な舞台情景と、漆黒でひきしめた画面に原色が乱舞するビジュアルは、おそらくダリオ・アルジェント監督のホラー映画『サスペリア』の影響下にある。
映像ソフトのパッケージでメインイメージを比べれば、色彩感覚の共通性が明らかだ。
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耳を突き刺すような音響や、オカルトとミステリが混じりあった物語なども影響を思わせる。
何より、作品の方向性を印象づけるシーンとして、どちらも序盤で天井のステンドグラスをつきやぶって死体が吊られるのだ。
パブリックドメイン作品ということもあり、下記ブログ記事で『サスペリア』のスプラッタ―な場面画像が紹介されている。
【14-075】サスペリア ★★★★☆ | 燃える映画軍団【ブログ編】
映画史に残るホラービジュアルと言っても過言ではありません。
実は新房監督自身、2015年に『アニメクリエイターの選んだ至高の映画』という書籍で、目指している作品として『サスペリア』をあげており、上述の推測が確信に変わった。
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そしてそんな『サスペリア』がGYAO!で3月14日から配信予定とのこと。
サスペリア | 映画 | 無料動画GYAO!
公開時にイタリア怪奇ホラー映画を流行させた作品だけあって、その映像表現はいまだに古びておらず、真相にわけいっていくサスペンスも楽しめる。
*1:大ヒット作品『化物語』とは、物語の構造にも似かよったところがある。『The Soul Taker〜魂狩〜』雑多な感想 - 法華狼の日記