法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

宮崎駿監督の長編復帰報道そのものは『NHKスペシャル』を見ていれば意外性はないけれど

風立ちぬ』での引退宣言が今度こそは守られそうだと、2016年11月の『NHKスペシャル』の放映までは受け止められていたことも事実。
https://this.kiji.is/207746906230703612

鈴木プロデューサーは、宮崎監督から昨年7月に新作の企画書を、年末に絵コンテを見せられたことを明らかにした上で、「(宮崎監督は)今も一生懸命、東京で作っています」と話した。

実際にスタジオジブリの制作部門を解散していることと、長編作品を完成させる間隔がのびつづけていたことという、ふたつの物理的な理由がはっきりしていた。
つまり引退を翻意して長編をつくろうとしても物理的に困難だろうということには変わりない。


すでに解散したスタッフも新しい場所で作品を手がけており、後継者とみこまれていた米林宏昌監督も新作をつくっている。
ジブリと宮崎駿の呪い “リストラ”された後継者たちの「その後」
意識としての引退撤回が表明された『NHKスペシャル』を見ても、もともと技術に挑戦するため短編をつくろうとして、長編をつくる欲が出てきたという流れだった*1
NHKスペシャル | 終わらない人 宮﨑駿

新進気鋭の若きCGアニメーターとの出会いから、初めてCGを本格的に使い、短編アニメで新たな表現への挑戦を始めた。

番組で紹介されたいくつかの試験的な映像や、監督本人の手描き作画を見るかぎり、創作能力そのものは衰えていなさそうだった。同時に、90分にも満たないコンパクトな作品でないと無理そうな印象も受けた。

*1:念のため、番組で批判された人物が匿名ブログで番組で描かれなかった部分を語っていたように、もちろん意欲の部分についても番組の演出はあるだろう。『NHKスペシャル』で宮崎駿監督が川上量生会長のプレゼンテーションを叱った件について - 法華狼の日記 しかし『NHKスペシャル』が2年間も密着取材し、長編をつくる意欲が出たのが2016年夏前というスケジュールまで嘘とは考えにくい。つまり2016年の『君の名は。』や『この世界の片隅に』といったアニメ映画の評判が創作意欲のひきがねということは考えにくい。