法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』雪と恐竜/拝啓、虹谷ユメ子さん

南極クイズの企画自体は嫌いではないが、やはり本編終了直前に右肩にテロップが出るのが邪魔でしかたない。


「雪と恐竜」は、暖かかった恐竜時代に行きたいのび太たちと、大型TVでも味わえない本物の恐竜に会いたいスネ夫たちの思惑が一致。しかしどの恐竜を見たいかで争って、適当な場所を選ぶことに……
映画宣伝をかねた三題噺のようなオリジナルストーリー。まず冬を導入にした季節ネタでもあり、時間移動した先の地域が雪に閉ざされたアラスカであり、そこで謎の生物に出会う。
氷に閉ざされた世界に恐竜が闊歩するという情景が、実写作品をふくめても珍しくて新鮮だ。さらに、子孫が鳥だという学説をとりいれた短編映画『ドラミちゃん ハロー恐竜キッズ!!』*1を超えて、むしろ鳥が恐竜の一種という最新学説にもとづいた恐竜像をアニメで見る楽しさもある。
動物の子供を助けて冒険するというストーリーがシンプルだからこそ、情景そのものの面白味が素直につたわってくるし、短い放映時間でも冒険の気分がそれなりに出ていた。


「拝啓、虹谷ユメ子さん」は、しずちゃんのかわりにガールフレンドをほしくなったのび太が、少女雑誌の交流欄でペンフレンドを作ろうとする。秘密道具をつかって少女を演じて仲良くなるが……
のび太のダメ人間ぶりがよくわかる原作短編を、ほぼそのままアニメ化。SNSやメールがあたりまえになった現代にあわせて、ペンフレンドをレトロ趣味的な再ブームと位置づけている。また、映画の宣伝をかねて、劇中のTV番組で平井堅が映画主題歌を熱唱する。
原作を知っていれば意外性はないが、やはりインターネットのなりすましを予見したかのような物語は、オチをふくめて現代的なリアリティがある。

*1:アニメオリジナルストーリーだが、原作者生前の作品。