法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『探検バクモン』魔法のアニメーション工房【第1話】/【第2話】

NHK深夜に放送される30分の教養番組シリーズ『探検バクモン』で、先月末に2週連続で放映されたスタジオジブリ特集。収録は偶然にも宮崎駿監督が引退会見した翌日だったという。
目玉は映画『かぐや姫の物語』についての情報と、あまりメディアに載ることのない高畑勲監督の姿。
http://www.nhk.or.jp/bakumon/prevtime/20131023.html
http://www.nhk.or.jp/bakumon/prevtime/20131030.html
第1話は、多くのジブリ番組のようにスタジオ内部を見学したり、各監督の過去作品をダイジェストで紹介したり、鈴木敏夫プロデューサーのコメントを拝聴したり、目新しい部分はほとんどなかった。サイコロコレクションを見せる鈴木PDに対し、そんなのを見たいわけじゃないと太田光がつっこんだのが面白かったくらい。
第2話では、タイムシートをいじって芝居のニュアンスを変えたり、背景の色を抜くという引き算の演出を語る高畑監督が面白かった。これも全くの新情報や新発想というわけではないが、あまり映像メディアに顔を出さない巨匠の肉声として貴重。ちらっと絵コンテが映ったりもしていた。これまで公開された予告映像以上に、作品への期待も高まった。


なお、生っぽい描線と淡い彩色の商業アニメとしては高畑監督の前作『ホーホケキョとなりの山田くん』が言及されるのみで、『ドラえもん のび太の恐竜2006』を始めとしたリニューアル後の映画『ドラえもん』シリーズや、東映の意欲的な長編映画虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜』の存在は語られず。ジブリとの関係が強い『ドラえもん』くらいは出てくるかと思っていたのだが。
そもそも番組から受ける印象としては、高畑監督が同時代の日本アニメ作品にほとんど目を通していないようにも感じた。思えば、高畑監督が各媒体へ寄せた文章をまとめた『映画を作りながら考えたこと』*1によると、映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』すら知らなかったようだし、杉井ギサブロー監督の映画『銀河鉄道の夜』に対しても擬人化表現を批判しつつ実際には見ていないようなニュアンスだった。

*1:古い文章と新しい文章をまとめた2冊が出ているが、どちらに収録された文章かはおぼえていない。