法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒season15』第6話 嘘吐き

ある日のこと、古アパートの漫画を描いている女性の隣室で、激しい物音と声がした。その隣室には男女が同居していたが、なぜか一方が派手な女に入れかわる。
さらに周囲に見たこともない中年の男女が出没し、追いつめられた女性は何者かに襲われるが……


今回は異常にミステリとして密度が濃く、複数の思惑がからんで二転三転する。虚言症の女性が幻覚を見るホラー演出もよくできていた。女性が描いた漫画を使ったエンディング演出も楽しい。
まず、殺害してノコギリで解体した事件かと思いきや、女性の言葉を大家は否定する。隣室と立場を逆転して冠城が推理するには、生活騒音を苦にした女性が隣室の女を殺したのが真相で、隣室の男や家主が協力して女性を追いつめようとしたというもの。なかなかおもしろい真相だが、番組が始まって10分ほどで提示され、推理としては使い捨てられてもったいない。
洗い出された関係者の大半に身寄りがない設定も、ただ登場人物を整理する都合かと思えば、共同墓地に出資した人間という意外な共通点でつながり、『相棒』としては久々に人情ドラマの様相をていしていく。
そうして女性が追いつめられた動機が判明する。「墓友」のために横領した大金を隠していたという、なかなか愚かしくも哀しい社会派テーマとしてよくできていたが、女性が殺されかけた問題をめぐって個人の裏切りがあばかれる。この裏切りは、おそらく協力者をひきこんだコネクションと密接につながっているわけで、キャラクター的な納得感も高い。