落とし物のウサギのヌイグルミを見つけた明智。しかし解決後、依頼人の幼い少女が母親と仲良く去っていくのを見て、落ちこんでしまう。
事務所でジェットが飴をきらしていたので、明智が買いにいく。そうして沈んだ気持ちを隠す明智だが、小林はたよられる存在になるため体力をつけようとトレーニングを始める。
一方、買い物に行って落ちこんでいた明智を帆羽が見つけて、パティスリーに呼ぶ。さまざまなモチーフのデコレーションケーキを作れる帆羽は、明智のためにいっしょにケーキを作る……
成田良美脚本。探偵部分はアバンタイトルで早々に終わらせ、サブキャラクターの帆羽に救われた明智と、あらためてパートナーとして支えようとする小林のドラマが展開された。
Aパートで提示した謎の真相を明智と小林が気づいて羽が舞い、Bパートで推理をおこなうという番組フォーマットは完全に崩されている。しかし、過去の成田脚本回のようにミステリとしての出来が良くない*1のにフォーマットだけ維持するよりも良い。探偵としての日常を発端として母への想いを描いた本筋のドラマを展開し、年上の帆羽の魅力を存分に描いたうえで、小林との再会で疑似的な母娘*2のきずなをとりもどして物語を一段落させ、発端の事件に出てくるアイテムを敵が利用することで母娘の関係のたいせつさを明智がうったえる成長劇へ自然につなげる。
ここ最近のシリーズは、敵幹部のドラマを重視するあまり、各話のゲストキャラクターのドラマを描く長期アニメらしい一話完結要素が後退していた。しかし、どうやってもなんらかのドラマ性が生まれる探偵要素を無理にでも入れれば、それなりにゲストキャラクターのドラマとして成立するし、そのミステリ部分で登場したアイテムを敵が怪物化することで日常と戦闘が分離してしまうこともない。
敵幹部のキャラクターが完全にかたまっているので、ゴウエモンがアイスでさそって森亜に協力させるだけでも笑える。マシュタンの占い設定でご都合主義を自然に見せられているところもうまい。
演出は村上貴之。作画監督は青山充で完全に一人原画。煽った構図の顔などで絵柄の癖が出ている。ただ回想カットなどでは総作監か演出の修正が入っている感じはあった。
しかし何よりも絵柄のインパクトは次回予告の『名探偵コナン』コラボにある。録画を見る前にインターネットで話題を見かけていたが、ここまでガッツリと違う絵柄で別作品のキャラクターを登場させるらしいとは思わなかった。てっきり背景のモブなどにまぎれこむくらいのコラボ予告かと思っていたが、だからこそ予告映像は事前情報を持たずに視聴して驚きたかった。
それにしても放送局も制作会社も違うし、シリーズのコミカライズをしていた雑誌を思えば出版社も異なる。モチーフの共通点はわかるし、実は『名探偵コナン』にもタイムスリップを思わせるエピソードがあったりするが*3、どうやったら商業的にこのコラボレーションが可能になったのだろうか……
*1:初参加回が番組フォーマットを崩しかねないメタな推理だったのに、メタミステリの文脈で提示されてはいないことが悪い意味で印象に残っている。比べると今回はアバンタイトルでおさまる、ちょっとした推理のバランスはうまくいっていた。 『名探偵プリキュア!』第8話 プリティホリックでプリティスマイル! - 法華狼の日記
*2:疑似ではないかもしれないと疑われているが……