法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『宇宙刑事ギャバンメモリアル 30年目の再会』

 2012年に発売された特撮ドラマの総集編DVD。1982年2月から1年間にわたって放送されたメタルヒーローシリーズ作品を、1時間超で再編集した。

 主演俳優の大葉健二がスーパー戦隊シリーズにも2作品にメインで参加しており、スーパー戦隊記念作品『海賊戦隊ゴーカイジャー』の劇場版で別シリーズから客演して大ヒットしたことで作られたらしい。

 10年近く療養していた大葉健二が死去したとのことで*1、過去に視聴した感想を追悼として上げておく。


 総集編としては、スタイリッシュなスーツデザインの変身ヒーローを、暑苦しい俳優が演じて*2、途中から敵のモチーフが概念化して呪いのようなホラータッチの攻撃をしかけてくるという、ごった煮作品の魅力を抽出している。
 長編ドラマとして完結した構成にはせず、名場面をまとめつつ全体の構成を追っていく。キャラクター紹介と名場面紹介に徹しているので、そういうものとして楽しめた。予算を使った部分をまとめればミニチュア特撮も大胆な合成もあるし、主演俳優が顔出しして危険撮影にとりくんでいるスタントシーンの多さは良くも悪くも東映の凄みがある。
 ただし、敵の怪人の肉体が爆破される場面が露骨なバンクなのに、あえて違う敵怪人を倒すたびに映していく編集は謎。安っぽさがありつつ、アイキャッチのような奇妙なリズム感が生まれている。特に、違う怪人4体を倒す描写を4分割で映した時、爆破バンクを同時に映す編集がすごかった。アンディ・ウォーホール的な演出にすら見える*3

四分割の画面で、それぞれギャバンが異なる場所と姿勢で敵を倒そうとしている。
四分割の画面で、すべてのギャバンが同じ縦一文字で剣を振りおろす姿。画面の光量は変えている。
四分割の画面で、攻撃を受けてそれぞれ異なる敵怪人がもだえる姿。ポーズも異なる。
四分割の画面で、すべて同じ爆発。画面の光量や色調は少し変えている。


 オーディオコメンタリーもそこそこ楽しく、オフロードカーのジムニー*4が軽くて横転しやすかったり悪路ではタイヤが滑ったりという裏話や、アクション俳優組織のJACは手すきの俳優がかりだされるため大葉健二も半日くらい着ぐるみに入ったことが証言されたりする*5
 タイトルもあやふやなまま『ALWAYS 三丁目の夕日』をCGだからなんでもできるから面白くないとPDが評していたように、ちょっと過剰に昔は良かった感も出しているが*6、大葉はCGの価値もあるとフォローしているし、そもそもギャバンでCGを初使用したかのようにオーディオコメンタリーの序盤で誇っていたりもする*7

*1:俳優の大葉健二さん死去、71歳 「宇宙刑事ギャバン」で主人公:朝日新聞

*2:終盤で客演するシャリバンの俳優は、対照的にさわやかな若者。

*3:それぞれ開始40分の、14秒、19秒、21秒、23秒。

*4:スズキ車なのだが、女優もPDも「ジープ」と呼んでいたりする。開始16分と28分。

*5:打ち上げに出席していた真田広之に尋ねると、着ぐるみに複数回入っていたと説明された、という逸話も語られているが、これは別番組でのことかもしれない。

*6:実際は『ALWAYS 三丁目の夕日』は室内外の巨大セットで街を表現しているし、建物や乗り物の素材としてミニチュアを多用している。

*7:ちなみに大葉は『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』の特典ディスクに収録された舞台挨拶でも、川で指導を受けて倒れる演技のため自分より濡れてしまう二代目俳優をもちあげたりと、本当にていねいなフォローが多い。