法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

NHKや朝日新聞を批判したビジネスジャーナルにこそ問題があった記事ふたつ

まず、貧困高校生NHK記事を「捏造」とみなした記事が、きちんと事実関係を確認せず、NHKのコメントも架空だったという。
お詫びと訂正 | ビジネスジャーナル

「取材の映像でも、少女の部屋はモノで溢れており、エアコンがないと言っているにもかかわらず女子高生の部屋にはエアコンらしきものがしっかりと映っている」と報じましたが、実際には、女子高生の部屋にはエアコンはなく、取材の映像にエアコンらしきものがしっかり写っているという事実も確認できませんでした。

 当該記事は外部の契約記者が執筆したものであり、NHKに取材をして回答を入手したと記述しておりましたが、実際には回答を入手しておらず、当編集部も確認を怠った責任があります。

とはいえ、きちんと謝罪と訂正をおこなっただけでも、「保守速報」*1や「痛いニュース(ノ∀`)」*2に比べれば、少しは良かったといえるだろうか。
当初の誤報そのものの問題が全て帳消しになるわけではないにしても、おそらく自発的*3に謝罪したこと自体は評価してもいいと思っている。そうでないと訂正や謝罪すらしない他のメディアの問題が埋もれかねない。
はてなブックマーク*4を見ると何度か文章を書きなおしているらしいものの、最終的にNHKだけでなく高校生や関係者や読者への謝罪もおこなっている。

また、今回の記事の掲載により、女子高校生やご家族、並びに読者の皆様に多大なるご迷惑をお掛けいたしました点についても深くおわびすると共に、他に同様の事案がないか調査し、厳正な処分を行うとともに再発防止に取り組みます。

これも、抗議した団体に対してのみ謝罪した産経新聞の事例*5と比べれば、まだ評価できるところだ。評価の基準が低すぎるかもしれないが。


もうひとつ、朝日関係のWEBRONZAで記事を書いていた湯之上隆氏が、専属ライターを辞めさせられたという記事が最近にあった。
私が朝日新聞の意向に反する記事を書いてクビになるまで…異論抹殺体質で誤報連発 | ビジネスジャーナル

「専属ライターを辞めていただきたい」旨の通知を受け取った。その原因は、私が書いた以下の2つの記事にある。

(1)7月13日付RONZA記事『米国とドイツでSTAP細胞関連の論文発表 不都合な事実を無視するマスメディア』

(2)8月5日付ビジネスジャーナル記事『朝日新聞、「海外STAP細胞論文発表」記事の掲載を一旦拒否…何度も執筆者に修正要求』

 思い起こせば、2010年12月3日に第1回目のRONZA記事が掲載されて以来、6年にわたって3週間に1回のペースで合計103本の記事を書いてきたが、その記事執筆は思わぬかたちでピリオドが打たれることになった。

この後、いったん記事が公開拒否されたこと、3カ所修正の指示を飲んで掲載されたこと、新しくライターとなった粥川準二氏の記事で湯之上氏が批判されたこと、といった経緯がくわしく説明されている。
文章そのものは読みやすくて第三者として素直に興味深いと感じたし、湯之上氏との意図とは逆に朝日新聞への信頼感も少し上がった。
ちなみに湯之上氏は記事の結論部分で、他の「大誤報」とSTAP細胞批判を同列にあつかっている。この主張にしても、湯之上氏の意図とは逆の印象をもった。

一度結論づけた記事については、その後それを覆す(かもしれない)出来事が起きようとも、朝日社内でそれを封じ込める力学が働くということである。過去に朝日が従軍慰安婦問題や東京電力福島第一原子力発電所事故に関して大誤報をしておきながら、長期間にわたってそれを訂正しなかったのも、このような力学によるものであると考えられる。今回のSTAP記事についても、その傾向が窺えた。


なお、ビジネスジャーナルはサイゾーメディアのひとつにすぎず、もともと社会的に信頼されているわけではないだろう。むしろ湯之上氏の記事などは、主要メディアに反抗する俗悪メディアならではの逆説的な価値がないでもない*6
誠実さでビジネスジャーナルにすら劣る大手まとめブログが、インターネットで主要メディアのようにあつかわれている状況こそ、たぶん社会への悪影響は大きい。