http://www.asahi.com/articles/ASJ6P4Q3GJ6PULBJ00J.html
当時の社長が炉心溶融という言葉を使わないよう社内に指示していたことについて隠蔽(いんぺい)と認め、謝罪した。東電の第三者検証委員会が指摘した「官邸の指示」については追加調査しないという。その上で、新潟県に「炉心溶融の定義はない」などと誤った回答をしたとして、広瀬社長を減給10%(1カ月)とするなどの処分を発表した。
http://www.asahi.com/articles/ASJ6P5X1FJ6PULBJ00V.html
第三者委は当時の官邸関係者への聞き取りをしないまま「官邸からの圧力」を推認しており、枝野氏らは「党への信用毀損(きそん)」などとして法的措置も検討している。広瀬社長は「推認は推認として受け止めた」とし、その理由についても「(真相の解明を)しなくても済む対策をとった」と繰り返すのみだった。
東日本大震災の当時、炉心溶融という発表が遅れたことについて、パニックをふせぐための当然の措置だという肯定が散見された記憶がある。
むしろ当時の政権が初期に炉心溶融という見解を出したことに対して、たとえば池田信夫氏は「勇み足」と評していた。
池田信夫 blog : 原発についての誤解
燃料棒が損傷した程度の事故に炉心溶融という言葉を使うと、海外メディアがmeltdownと報道して誤解をまねく。今回も藤崎駐米大使が「メルトダウンは起きていない」とコメントして、官房長官の説明と食い違うと問題になったが、これは政府の勇み足である。
しかし当時に「慎重」を肯定した人々が、今回の報道に対して官邸の判断を肯定している場面を見かけない*1。なぜだろう。
ちなみに石井孝明氏のように、混乱をもたらす言葉だとしつつ、慎重になることにこだわってはならないと同時に主張する人物はいる。
東電「メルトダウン」公表の遅れ、菅政権が真犯人? – アゴラ
1・東電内、また官邸や原子力規制当局の、事故対応の情報共有に不適切さがあった。
2・権限や適切な知識のない人のイレギュラーな介入により問題は混乱する。菅直人氏のような、いわゆる「無能な働き者」が重要問題に介入しないようにして、専門家の意見を適切に反映させる問題解決の仕組みをつくらなければならない。
3・言葉はさまざまな影響を与えてしまう。メルトダウンというバズワードが社会混乱をもたらした。広報で言葉使いに慎重になることは当然だが、結果としてそれにこだわり、事実の正確な描写ができなくなるのは、明らかにおかしい。
「推認」の妥当性がどうであれ*2、「隠蔽」を実行したのは東京電力であるし、確実に責任もまぬがれないはずだ。
だが石井孝明氏のまとめでは、1番目に官邸や規制当局と同列におかれ、「不適切」という評価にとどめている。しかも2番目の文章とあわせると、官邸が介入しなければ東京電力は適切に広報できたかのように主張したいかのようだ。