時事通信社が伝えているが、各新聞社は記事購入していないらしく*1、論調を見比べることができない。
http://www.jiji.com/jc/ad?p=kabuopu_news&k=201208180454&g=adkikaku01
東京電力〈9501〉福島第1原発事故直後、東電が同原発から全面撤退しようとしたと疑われている問題で、同社が本社で具体的に撤退の準備を進めていたことが、テレビ会議映像から分かった。2号機が炉心溶融(メルトダウン)する「1時間ほど前に退避する」、バスで運べる人数は「目いっぱい乗ったとしても半分くらい」などといった発言があったが、首相官邸には伝えられなかったとみられる。
テレビ会議映像によると、昨年3月14日午後、圧力が高まっていた2号機原子炉の爆発を防ぐために格納容器の蒸気を外部に放出させる「ベント」がうまくいかず、本社では危機感が募っていた。武藤栄副社長(当時)は「早くベントしないと、ヨウ素なんかが上からいっぱい出てきてしまう」と現場をせかしていた。
オフサイトセンターにいた小森明生常務は「どっかで判断しないとすごいことになるので退避基準の検討を進めてくださいよ」と求めた。同日夜、本社社員とみられる人物が「検討の途中状況を申し上げます」と切り出し、「(炉心溶融の)1時間ほど前に退避をすると。その30分前から退避準備をすることを考えてます」と述べた。
また、撤退場所として福島県富岡町の浜通り電力所を第1候補に、福島第2原発を第2候補に考えていると説明した。
さらに、移動手段としてバスが挙げられ、「マイクロが20人乗りが2台、中型が1台30人乗り」「そのほかに構内のバスが7台」「目いっぱい乗ったとしても半分くらい。今構内に850人いますが」などの言葉が交わされた。
「全面」という単語は使用されていないが、引用されているやりとりを読む限り、必要な人員を残した撤退とは解釈しにくい。本当に全面撤退する意図がなかったとしても、緊迫した状況では「誤解」を生んで当然と思える。
しかし先日にエントリを上げたように*2、映像は一部しか公開されていないだけでなく、公開の段階も異なっていて第三者の検証が難しくなっている。米国のように時限的にでも確実に公開されると期待できるなら、また違ってくるのだが。
困ったことに、今回の時事通信社が根拠とした「テレビ会議映像」がどのように公開されたものなのか、記事本文にはっきり書かれていない。
記事の文章でインターネットを検索してみても、引っかかるのは匿名の論評がほとんどで、東電側の反論すら見当たらない。いくつか一般論的な感想ならば出せるが、通信社から購入された形跡がなく*3、後追い報道もないのでは記事自体をどうとらえるべきか難しい。