今回は前後とも、キャラクターがほぼ固まった中期からアニメ化。
「ダメダメ！キンシひょうしき」は、のび太とドラえもんが秘密道具でたがいの行動を禁止しあう。ふたりは秘密道具を抜きとれるペンチを探しに外へ出ていくが……
伊藤公志脚本で、クライマックスをアニメオリジナルで追加。のび太が「うごくこと」を禁止してしまい、ドラえもんだけでなく自分も動けなくなる時間を通して、たがいに反省の機会とする。藤子F作品らしいスコシフシギな状況が、ストーリーとしてもビジュアルとしても楽しい。解決方法も地味に梅雨の終わりらしさがあるし、心の動きを天候で暗喩する演出にもなっている。
今回の寺田和男コンテは、序盤でも俯瞰したのび太に強いパースをつけていたり*1、珍しいレイアウトが多い。スラップスティックな物語をうまく映像として展開できていた。
「ぼくのまもり紙」は、のび太にわざわいがふりかかるのをさけるため、紙製の神様「まもり紙」を出してやる。調子に乗っていくのび太だが、ジャイアンに神様が負けそうになり……
少しずつ描写を足しているが、ほとんど原作そのままの展開。ただの白い紙きれが、さまざまな動きで信者を助ける場面を楽しませる展開だが、もっと作画に力があれば、もっと楽しいエピソードだったろうな、という惜しさがある。
あと、原作では「びんぼう紙」だったのに今回のアニメでは「やくびょう紙」という名称になっていた。「びんぼう」だと金銭的な貧しさしかイメージしにくいための改変だろうか。のび太が災厄にふりかかえっていく過程を原作よりていねいに描写していたのは悪くない改変だが、頁数の都合でテンポ優先になった原作版が好みなので何ともいえない。
そういえば、数話前に気づいたココスの新CMは、なかなかコミカルな動きでドラえもんたちが作画されていて、見ていて楽しい。誰の仕事だろうか。
*1:演出の指示や原画の判断という可能性はある。
