法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第11話 ヒューマン・デブリ

たがいの力をさぐりあうような海賊との戦闘。そのさなか、アキヒロは敵機にいきわかれた弟が乗っていることに気づく。
からくも鉄華団はきりぬけたが、装備交換のため整備士ナディが宇宙の果てに飛ばされ、タカキは意識不明になるほどの重傷を負った……


鴨志田一脚本の戦闘回。ある程度まで無重力状態を反映させた描写で、敵味方がトンチをつかった戦いをする。
映像面では中村プロのアニメーターに加え、原画に村木靖や柿田英樹などが参加。前半だけとはいえ、浮遊物の多い宇宙空間をいっぱいに使った戦闘をよく支えていた。


さて、実際のナディはコメディチックな描写。戦闘宙域から離れているから、ちゃんと回収するならば船内にいるより安全だろう。下記エントリのように第2話では疑問に思ったが、こういう役割をあたえられているのなら理解はできる。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』#2 バルバトス - 法華狼の日記

いそいで整備していたから推進剤を忘れていたという台詞は、アクションの高揚感へコメディチックな言動で水をさしてしまったし、無意味に整備士を無能に見せていていると感じた。そこは単純に充分な推進剤を用意する時間がなかったという説明で充分だろう。

タカキも悲劇的な犠牲というより、対処能力でメリビットのキャラクターをアピールしつつ、ひどい状況に直面しても生きのこったという位置づけ。
消息不明だったキャラクターや台詞で言及されるだけだったキャラクターも登場。おおきな動きはないが、無駄もないので見ていて楽しい。


ただし海賊ブルワーズに弟がいたという展開だけは、予想を一歩も出なくてつまらない。ブルワーズ側の隊長がオネエ言葉の典型的なサディストなのもおもしろくない。鉄華団が少年兵だった序盤を思い出させる描写だが、だからこそ切りすてるべき敵ということがわかりやすすぎて葛藤がない。
いっそのことブルワーズはタービンズ以上に仲間意識が強くて、さからわなければ末端にも優しい組織だったらどうだろう*1。それでアキヒロにこっちに来るように弟マサヒロが主張したりすれば、もっと葛藤のあるドラマになったのではないか。相手と同等と見せれば、タービンズの優しさが利己主義にすぎないというエクスキューズにもなる。

*1:仮面ライダー鎧武』のピエールのように、そういう位置づけにスライドする可能性がないではないが。