法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』クリスマスなのに事件ですSP

ひとあし早いクリスマスSPは、冬に起きた事件を主としてとりあげていた。
たとえば「ロシア雪山ミステリー事件!?」というパートでは、旧ソ連の雪山で死亡した謎の9人、いわゆる「ディアトロフ峠事件」をとりあげる。しかし雪崩説を排する理由が根拠薄弱で、あっさり雪男ネタに移行。何かの宣伝番組をたれながしただけに見えた。
「殺人犬」として、アメリカで起きた死亡事件をとりあげたりも。となりで飼われていた犬に噛み殺された事件なのだが、隣人は弁護士夫婦。もともと犯罪のため特別に訓練されていた犬を、弁護した時に仲良くなった組織からゆずりうけたのだという。責任逃れな行動と発言ばかりで全米の怒りを買い、飼い主という立場ではじめて殺人罪という判決がくだったとか。


問題なのは「在ペルー日本大使公邸人質事件」。
1996年12月のテロリスト占拠事件と、人質解放にいたる一部始終を再現しており、サスペンスアクションとしては見どころがあった。当時の映像はもちろん、生きのこった人質が現在にインタビューを受ける姿を映す。
しかしペルー政府の行動を、「テロに屈しなかった」と安易にもちあげるばかり。ほとんど知られなかった真実をあばくかのようなふれこみで、むしろ古くから知られていた建前を詳細になぞるだけ。テロリスト側が人質をくりかえし解放したり、マスコミをまねきいれたり、結局は人質を殺さなかったことについて、ひたすらテロリスト側を悪魔化する説明をつづける。
たしかにテロリスト組織は壊滅したし、あらゆる意味で拙速だった。しかし当時のアルベルト・フジモリ大統領を無批判に紹介するのも違うだろう。フジモリ政権が反体制勢力を壊滅させるために虐殺をおこなっていたことが明らかにされているのだから。
http://homepage2.nifty.com/ai152hannah/pddhh.htm
実際、占拠事件から数年後にフジモリ大統領は殺人罪で起訴され、国外逃亡したチリで逮捕されてペルーへ身柄がひきわたされ、裁判で実刑がくだっている。むしろ現在に新たな視点を提供するならば、英雄視されたフジモリ政権もまた武力で恐怖政治をおこなっていたことをあばく内容にするべきだった。