法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第7話 いさなとり

鉄華団を停船させた集団は、接触しようとしていた木星組織テイワズの配下、タービンズだった。そのボスのタービンとオルガたちは交渉をこころみる。
しかしCGS上層部を裏切って少年兵がつくった組織であるため、鉄華団は信用されない。そのCGS上層部のひとりをタービンズが保護していることもあり、鉄華団は戦闘せざるをえなくなる……


第5話につづいて鴨志田一脚本で全編戦闘。さらに寺岡巌がコンテに初参加して、有澤寛がメカ作画監督。アクションもキャラドラマも良く、それぞれが乖離せず密接につながっていた。
まず、少しでも背後や横をとられないために、進行方向を変えないまま宇宙船の正面を敵へ向けるという、いかにも宇宙空間らしい戦闘が印象に残った。完全でないにせよ、空気抵抗のない無重量らしい世界が感じられた。会話劇とつながっていることから脚本段階で決まった描写だろうが、それを完璧に映像化したスタッフの仕事もすばらしい。この180度回頭シーンやモビルスーツの発進など、宇宙船を3DCGで描画していることを活用できている。
一方で手描き作画のモビルスーツは濃厚で、充分な作画枚数でていねいに動く。さらに入念なグラデーション処理が加えられて情報量が高い。敵味方が策をかけあう、慣れない宇宙での不格好な戦闘が、映像として魅力的に表現されていた。そして「阿頼耶識」システムを奇策が成功した理由につかって、かたくなだったタービンの態度をくずし、第5話とも違った結末をむかえる。
また、クーデリアとアトラのキャラかぶりを前回は疑問に思ったが*1、クーデリアが自身の鏡像のようにアトラを見る描写で納得。艦橋での交渉も、タービンとオルガだけでなく周辺のキャラまで明確な意思をもって発言し、キャラとして存在感を出す。ヤクザキャラらしく筋をとおすタービンズの面々も、不穏感をのこしつつ好感をもてるつくり。戦闘で富野台詞っぽいかけあいをしながら、近年の富野作品ほどには台詞が浮いてないことも好みだった。
これまでほしかった宇宙戦闘のため船内が無重量状態になる設定描写もあり、脇キャラまでドラマで存在意義をあらわして、かゆいところまで手がとどく。戦闘量はさすがに無理と思うが、設定とキャラの活用は今回くらいを標準にしてほしい。そう思うくらい良かった。


ところで、公式サイトのストーリー紹介ページで話数表記が変わり、複数エピソードを「○○編」とまとめる表記になっていた。
http://g-tekketsu.com/story/index.php
1〜3話がCGS編、4〜6話が鉄血編、7話以降がテイワズ編だという。