法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』脱出!!巨大クリスマスケーキ/スケートするなら氷河期で

今週は前後ともにアニメオリジナル。それぞれ季節ネタであり、後半は来年の映画ネタでもある。先週より、さらに作画が良かったし、なかなか物語も楽しいものだった。


「脱出!!巨大クリスマスケーキ」は、のび太がドラミの秘密道具で縮小し、クリスマス会がひらかれる骨川家へと飛ばされる。しかし到着した位置が悪くて、元のサイズにもどれない……
ひさしぶりにドラミが登場し、クリスマスにあわせた秘密道具を出す。そのひとつ「シャンポーンロケット」をのび太が発動してしまい、コルク栓にとらわれた状態で一足先に骨川家へと向かう。しかし壁などの硬い物に当たればコルクが割れて元のサイズにもどれるのに、巨大クリスマスケーキに入りこんでしまった……という展開*1
「そして、ボクらは旅に出た」*2や「のび太のエビフライ」*3等、アニメオリジナルで定番となったミニサイズの冒険劇。いつもの場所が異なる印象を生みだすのでアニメオリジナルでも原作らしさが出てくるし、秘密道具の使用が制限されての知恵と体力をつかった冒険も楽しいものだ。
今回はみんながケーキを楽しみにしているからと、こっそり急いで事態を収拾しなくてはならなくなるのが制限のポイント。ドラえもんとドラミがタッグを組みながら、ケーキを汚さないように「重力ペンキ」などは封印せざるをえない。秘密道具が封じられたことで、むしろ兄妹の身体能力の低さがネックになっていく。もちろん冷静に考えれば他に使えそうな秘密道具は多々あるが、短時間にあわてて解決しようとしているから心情的に納得しやすい。
クラッカーのテープをよけながらタケコプターで巨大ケーキに向かう空中アクションや、ケーキを巨大な山に見立てたり、チョコフォンデュの沼に沈んだり、ケーキ内を掘りすすんでいくビジュアルがおもしろい。ミニサイズとなってケーキをたらふく食うという、童話のような楽しさもある。娯楽的な映像作品としては完璧にちかかった。


「スケートするなら氷河期で」は、のび太が秘密道具でかっこよくスケートをしようとして、氷河期へとやってくる。するとなぜか旧石器人の少女とスケート対決をすることに……
スケートは旧石器時代からおこなわれていたという説を初めて知った。劇中の骨をつかったスケート靴らしきものも、実際に発掘されているという。ちゃんとアニメとしてスケートをそれらしく動かせていたし、全自動で移動するコタツという道具の楽しさ、ドラえもんが獲物あつかいされつづけるギャグなど、さまざまな要素をちゃんと使いきっている*4。後半のマンモスの襲撃も、短い時間で氷を割ったりと事態を変化させて飽きさせない。
あと、くじらが演じているためと、のび太たちより巨体なため最初は少女と気づかなかったが、そのままどこまでも対等な存在として描かききったのが良かった。秘密道具に負けない旧石器人という描写も過去の人々を尊重していて好感をもてる。のび太たちが一方的に圧倒しないので、ベタな求婚オチも嫌らしくない。

*1:コルク栓が箱をつきぬけるのではなく最初からケーキが外に出ているべきじゃないかな、とは思ったが。

*2:『ドラえもん』そして、ボクらは旅に出た - 法華狼の日記

*3:『ドラえもん』のび太のエビフライ/たすけて!助け船 - 法華狼の日記

*4:しずちゃんだけは、旧石器時代に行ってからイマイチ出番がなかったが。