主人公たちが化粧に挑戦する、幼女向けアニメらしいエピソード。
メインストーリーでは、ミス・シャムールのひょうひょうとした教師ぶりが楽しいし、シャットが生徒になってしまう展開も意外と自然に楽しめた。
敵幹部のクマドリが、デザインではなくメイクだというネタだけでもおもしろいのに、ちゃんと現状のシャットらしいドラマになっている。ここ最近のプリキュア側は精神的にゆらぐことなく、敵幹部の多くは秘密をかかえていて、シャットだけが状況にふりまわされるレギュラーキャラクターになっていた。ここでわずかなりとも救いが描かれたのは、敵であってもすがすがしい。
釈然としなかったのは、妖精クロロの処遇。今後にふくらませる余地があるとはいえ、記憶がなくなったという説明で敵幹部だった時のことをすませていいものか。田中裕太シリーズディレクターは雑誌『アニメージュ』のインタビューで「洗脳無罪」を好ましくないと主張し、それで過去の記憶と責任を負っているキュアスカーレットの人物像になったと語っていた。逆にいえば、今後にクロロの過去へふみこむエピソードが用意されていると考えられる。
今回の作画はフィリピン外注だったが、今シリーズで最も良かった。化粧の成功失敗をめぐって、キャラクターの表情がくるくる変わる。
通常キャラクターが化粧をして顔が変わっていること、あまり出番のないシャムールとシャットがメインになっていることで、他の回との絵柄のちがいが目立たなかったという面もあるのかな。