法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Go!プリンセスプリキュア』第16話 海への誓い!みなみの大切な宝物!

パーティーに招待された主人公達。舞台となったリゾートを経営するのは、海藤が敬愛する兄。周囲の海には、海藤が幼いころ友人になったイルカもいる。
そうして楽しく遊んでいたところを、いつものように敵が襲撃してくるのだが……


今回は成田良美脚本と青山充一人原画の水着回OVAで水着が解禁された『おジャ魔女どれみ ナ・イ・ショ』第3話と同じスタッフだ。
大前提として、この放映枠の女児向けアニメは、伝統的に少女の水着を自主規制している。
主人公の周辺が着たのは、プロデューサーが交代した『フレッシュプリキュア!』第2話*1にさかのぼる。他には『スマイルプリキュア!』第28話で主人公とは関係ない水泳部が背景的に登場したり*2、『ハピネスチャージプリキュア!』第24話で敵幹部ホッシーワが水着をつけていたくらい*3
肌を見せたくないという意図は理解するが、主人公周辺が一度も水泳を楽しまないのは、それはそれで不自然だった。
『ハートキャッチプリキュア!』第26話 勇気を出して!友達になるって素敵なんです!! - 法華狼の日記

さすがに海に入って誰も水着を着用しないのは違和感が大きい。露出度の高さが問題になるのなら、日焼けを防ぐためと称して大きなTシャツを羽織って身体の線を隠すとか、競泳やスキューバに使うような全身を覆う水着を使うとか、回避する方法はあると思うのだが。

しかし今回ついに上述の回避方法で主人公たちが海水浴を楽しんだ。ウェットスーツを着こんで、春野は水泳の苦手意識をのりこえて、美しい海を楽しむ。
しかも規制による不自然さがない。クルーザーを用意できる海藤家の裕福ぶりをはじめ、主人公周辺の文化的な豊かさが視覚的にわかりやすい。海にもぐっての海中生物との出会いも、後半の展開に必要なものだ。


しかし物語そのものは微妙に古臭い。兄妹を見て何かを思い出すトワイライトなど、カナタ王子の妹という伏線なのかもしれないが、まったく本筋にからまない。
主人公を動物が助ける展開からして古臭い。野生動物との距離の近さと、人間側の身勝手な思いいれに危うさを感じた。良くも悪くも成田良美脚本らしい。いっそ犬視点で描いた『ふたりはプリキュア』第22話*4くらい非現実的なら、好みではないが目をつぶることはできた。
リゾート観もバブルの古臭さをひきずっている。現地住民との良好な関係をきずいているのはいいが、巨大建造物を見せられると維持できるほど客が来るのか心配になってしまう。たとえば、古いホテルが破綻しかけたところを兄が立てなおしたとか、とりこわされる予定の廃校を観光用に再生したとか、すでにかなえつつある夢だからこそ現代的な設定にしてほしかった。