法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 50-』第23話 正しさと正しさの狭間で

主人公のアイドルチーム、二代目少年ハリウッド。それが拠点としている小劇場「ハリウッド東京」が買収される話がもちあがった。
買収をしかけてきたのは、初代少年ハリウッドで最年少だった青年。彼は初代の少年ハリウッドを永遠とするために、二代目の少年ハリウッドを否定する。
しかし主人公をアイドルとして育てているシャチョウも、初代少年ハリウッドの一員として行動していたはずだった……


下記エントリとコメント欄で少し書いた、シャチョウの絶対性をゆるがす展開の一環。
『アイドルマスター シンデレラガールズ』第6話の雑感 - 法華狼の日記
まず第21話「神は自らの言葉で語るのか」で、シャチョウがアイドルの言葉は借り物であり、しかしそれで何が悪いのかという説教をする。これはアイドルつまり偶像の話であると同時に、シャチョウがアイドル時代に「ゴッド」と呼ばれていたことにもかかっている。
次に第22話「ファンシーメルシーブラックコーヒー」で、主人公チーム内のトラブルが、シャチョウの知らないままチーム内で解決する。しかしシャチョウと無関係というわけでもない。トラブルを起こしたチームメイトが新しい味を知った展開が、先にシャチョウが新しい味をおぼえた展開とシンクロしているのだ。
そして第23話、主人公チームの夢が、しょせんシャチョウ個人のものであり、初代チームの総意ですらなかった可能性が指摘される。アイドルを永遠のものにしたいという夢をどのように実現すればいいのか、それを問うエピソードであるがゆえに、一期二期をとおしてブラックボックスになっていた資金源の問題にもメスが入った。


ふりかえってみると一貫性ある自然な展開だが、こう来るとは予想していなかったし、期待していなかった。極端に不合理ではないから欠点とは思わず、上記エントリで下記のようにコメントしたくらいだ。

一応、シャチョウくらいの人物は現実にもいるとは思います。
ただ、個人の才覚で劇場を支えて、メンバーの隅々まで気を配ることができるのは、あくまで小規模だからだとも思います。既存の小規模劇場を拠点においているし、人件費も抑えているように見えるから、資金源が描かれてなくてもリアリティが欠けない。

それでいて、各話エピソードの完成度もそれぞれ高い。第21話から第23話まで、それぞれ主人公たち若者の物語として成立しつつ、連続エピソードでも主人公の積みかさねてきた日々が描かれてきた。