法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『東京喰種トーキョーグール』第1話 悲劇/第2話 孵化

人間を捕食する新人類「グール」とつきあってしまった少年の物語。


原作は『週刊ヤングジャンプ』に連載中で、スタジオぴえろ制作でアニメ化された。主要スタッフは、3DCGキャラクターのOVA『FREEDOM』を手がけた森田修平監督に、ロボットアニメで活躍していた三輪和宏キャラクターデザイン。
作画さえ良ければアニメは楽しめる、そう思えるほど映像が素晴らしかった。原作の柔らかな絵柄をアニメーションで再現できないかわり、艶やかで繊細な人物作画と、動きの良いアクションで、目を楽しませてくれる。
森田監督らしく、3DCG表現も良い。特に第1話クライマックス直前の主観映像は、路地だけでなく倒してしまうケースまできちんとモデリングして、独特の実在感を出していた。


けっこう話運びもいい。TVアニメ第1話にあたる原作の第1巻前半まで見たが、うまくTVアニメに合わせるように再構成されている。
原作は雑誌掲載の1話ごとに1エピソードを描き、つづけて単行本で読むと断続的でいて単調に感じる。そのままTVアニメ化すると同じように単調に感じたことだろう。
そこで原作では少女との出会いをくりかえすところ、第1話クライマックスの1回にまとめて、単調さを防いでいる。さらに原作では登場しないグール複数を同じ現場に出すことで、クライマックスらしい厚みある描写となり、グール間の対立や仲間意識も説明。さらに今後の作品の方向性まで示唆してみせた。
第2話に入っても、説明や情緒が不足しない程度に物語を圧縮。しっかり主人公の葛藤や迷いを描きつつ、それをいったん脱け出るところまで展開し、人間が変わりゆくドラマとして満足感があった。このままテンポ良く1話ごとに新たな展開と結末をむかえていけば、濃密な内容が楽しめることだろう。
ただし、第1話アバンタイトルで真相をにおわせたのは、どんでん返しが機能しにくくなったので議論がわかれるところか。しかし真相を示唆されているからこそ主人公が失敗しそうな予感がホラーの醍醐味のひとつだと思うし、個人的には許せる範囲内。