法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

比喩そのものは普遍性を読むことができるとは思うが、『美味しんぼ』には当てはまらない

アホが伝染る

A「みんなーCには近寄るな。話しかけられても無視な」
B「そうだそうだ」
先生「こらぁお前らなにやっとるか」

感染するという部分からしても『美味しんぼ』とは関係ないと思われるのだが、はてなブックマークを見ると複数コメントが関係を見いだしていた。
http://b.hatena.ne.jp/entry/anond.hatelabo.jp/20140523232259

id:allmanbrothers おもろい。美味しんぼを始めとした放射脳のアホどもはこれを読んでどう思うんだろう 2014/05/24

id:masa_rst 伝染るんです。じゃなくて美味しんぼネタだった。 2014/05/24

id:plutonium 美味しんぼの雁屋をはじめとした放射脳への皮肉 2014/05/24

id:tail_y “アホが伝染る”/美味しんぼの鼻血ネタ 2014/05/24

問題の比喩では、Cの症状が感染するといって忌避しているAとBを批判しているのだろう。しかし『美味しんぼ』で鼻血を出す描写がされたのは、原作者自身と同行したスタッフが取材中に鼻血を出し、取材対象者も鼻血を出したと証言したためだとされている。作中でも鼻血を出したのは主人公側だ。
しいて比喩になぞらえるなら『美味しんぼ』はCの立場に近しい。ただしそのCは分断されていて、『美味しんぼ』はその一部である。


以前にid:wideangle氏の下記ツイートを見かけた時に考えたことだが、むしろ体験や実感にもとづいたからこそ、原作者は一定の確信をもって描写したのではないか。

もちろん個人の体験や実感は、しばしば全体の傾向や事実と異なる。現象をまのあたりにしたとして、そこから想像した原因が正しいという保証もない。
そういう注意が原作者に欠けていたという問題として比喩するのが、『美味しんぼ』に対してはふさわしいのではないだろうか。


なお、ドキュメンタリー作家ならば自覚して、あえて踏み込むこともある。そのあたりの判断の難しさについて、原作者と縁があるドキュメンタリー番組ディレクターがブログエントリを書いていたので紹介しておく。
山岡士郎はなぜ鼻血を出したのか

一部の批判にあるように、
この漫画を「デマ」だと決めつける気はぼくにはない。
雁屋さんが福島取材後に原因不明の鼻血を出したことも、
井戸川氏が福島には鼻血を出す人が多いと語ったことも、
おそらく事実だろうと考えるからだ。