『GODZILLA』の2回目となるハリウッド映画化作品が、2分半の長編予告を公開していた。
自由の女神など少しずつ気になるカットもあるが、巨大生物ではなく災害のアナロジーとして怪獣を描こうという姿勢が感じられるのは良い。
特に、盛りあがった海面から津波のようなカットへと繋げたのは、良い意味で映画らしいインパクトがある。
映画宣伝をかねてか、YOUTUBEの東宝MOVIEチャンネルやシリーズ公式サイトで、過去シリーズの予告編も公開するという。
http://godzilla.jp/
東宝MOVIEチャンネル - YouTube
ところで、予告の1分半くらいに、ばたばたと戦闘機が落ちているらしいカットがある。撃墜されたというより、エンジンが停止したような光景だ。それを見て、平成ガメラシリーズのころに考えていたゴジラ設定を思い出した。
地をはう怪獣の物語において、航空機による攻撃は鬼門だった。怪獣に対抗手段がないということではない。逆に怪獣が対抗する描写をするため、わざわざ手のとどく距離まで近寄って叩き落されるのが常だったのだ。
平成ガメラシリーズの金子修一監督による映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』では、ゴジラの熱線の射程距離が長くなり、同じ画面に収まらないほど高空の戦闘機を撃墜できるほどだったが、それでも口さがない軍事オタクには距離が近すぎると批判されていた。
そこで逆にゴジラと戦おうにもミサイルが正常に動作せず、レーダーもまともに使えず、航空機が接近できないという設定にすればどうだろう。
核爆弾が高々度で爆発すると、強力な電磁パルス、いわゆるEMP効果を発する。それにより防御が不充分な電子機器が停止したり誤動作を起こす。それと同じことがゴジラの周囲に起きつづければ、戦闘機やミサイルが無効化できるのではないか。ひとことでいうと、核兵器の一側面である電磁波の怪物としてのゴジラだ。
ミサイルのような無人誘導兵器が無効化されたなら、人間側兵器とゴジラが同じ画面におさまるくらい接近して戦わなければならなくなる。つまり人間とゴジラのドラマを、映像作品として演出しやすくなるのではないか。
強力な電磁パルスを発しつづけるならば、たとえばゴジラが進行するたびに、その周囲にある蛍光灯が自動的に発光するようなSF的ビジュアルも作れる。先述の金子監督作品では、戦闘のために都市の照明を点灯させつづけるよう要請していたが、あくまで普通の夜景に怪獣がいる描写を台詞で説明したにとどまっていた。
他にも、水中では電磁推進で高速異動できるとか、そもそも放射線を電磁波に変換する生命とは何かとか、細かい設定を考えていた。そのようにあれこれ怪獣のリアリティを考える楽しみを、今回の予告映像で思い出すことができた。
もちろん、今度のハリウッド映画版がどのような設定なのかはわからない。過去シリーズと同じく、実際に見ると落胆してしまう可能性もやはり高い。
しかし予告映像を見た限りでは、人知を超えた破壊者としての怪獣と、その実在感を両立させようとしているようだ。期待しすぎないくらいに楽しみにしたい。