ドラえもん募金はテレビ朝日の募金システムだ。固定電話を使って105円を手軽に寄付することができる。
テレビ朝日 ドラえもん募金｜テレビ朝日
募金電話番号: 0990-513-006
※「ＮＴＴの固定電話・ＮＴＴのひかり電話」のみ、ご利用になれます
（携帯電話・公衆電話・ＮＴＴ以外のＩＰ電話等からはご利用になれません）
大規模な災害が発生するたびに周知されているが、実際は継続して受けつづけている。何度か使ったことがあるが、音声ガイダンスにまじえて、ドラえもんたちから感謝の言葉を聞くことができる。
ただしダイヤルQ2側の問題なのか、古いテープレコーダーのように声が割れており、聞くたびに残念に思っている。それに、せっかくなら音声ガイダンスも『ドラえもん』の声優をできるかぎり使えないものか、とも感じている。
また、ダイヤルQ2手数料は引き落とされないが、5円分は消費税あつかいで寄付金にはならない。
事業報告｜テレビ朝日福祉文化事業団
105円（消費税込み）が情報料として電話料金に加算され、これをテレビ朝日が変わりに100円募金するという仕組みになっています。 情報料金のために消費税がかかることになります。また通常ダイヤルＱ２回線を利用する際は、代行手数料としてＮＴＴに1通話あたり9円が支払われる仕組みですが、 ドラえもん募金に関しては、ＮＴＴさんのご協力を頂き、この9円も募金に加えさせていただいております。
そして、料金が固定されているため多額の寄付をおこなおうとすると逆に手間がかかる*1。テレビ朝日福祉文化事業団は大口の寄付も受けつけているが、こちらは被災者向けではなく日常的な福祉活動に向けられているようだ。
事業報告｜テレビ朝日福祉文化事業団
どちらかといえば寄付金を集めるだけが目的ではなく、募金の意義を子供をふくめた視聴者に知ってもらうための存在と思うべきだろう。
もちろん適切に使われるよう監視しつづける必要はあるし、周知の方法として適切なのかといった批判もあるべきだが、だからといって全てを否定する必要もない。
集めた寄付金はテレビ朝日の判断で各団体にふりわけられ、その判断基準も現在は広く公開されている。
事業報告｜テレビ朝日福祉文化事業団
他の適切な相手へ直接に寄付したければ、きちんと自分で調べて決めればいいだけのこと。その時にドラえもん募金の判断基準もひとつの参考になるだろう。
ここで寄託されている団体のひとつ、JPFが北朝鮮系と疑われ、問題のデマで標的にされている。上記のドラえもん募金ページに書かれた解説は下記のとおり。
◇ジャパン・プラットフォームとは…
海外での自然災害の際の、日本のＮＧＯによる迅速で効果的な緊急人道支援活動を目的として、 ＮＧＯ、経済界、政府が共同して設立したシステムです。現在、３３のＮＧＯが参加する、特定非営利活動法人（ＮＰＯ法人）です。 ＪＰＦには、政府（外務省）から資金が拠出されるほか、日本経団連もＪＰＦを通じた資金協力を呼びかけており、数多くの企業が支援に参加しています。
◇寄託先として選定した理由
ジャパン・プラットフォームに集まった資金は、直ちに、被災地での活動を行うＮＧＯ等の活動資金となります。 テレビ朝日が寄託した募金についても、ＪＰＦから迅速に、初動の救援を行うＮＧＯ等に渡され、被災地への緊急支援に生かされました。
現在もＪＰＦ傘下の１０の団体が被災地で活動中です。炊き出し、物資輸送と配布、被災地やＮＧＯに物資の橋渡しをする「マッチング支援」、その他、医療支援、外国人被災者支援など、各ＮＧＯの特色を生かした支援を復旧・復興まで行う予定です。
今回のような国内の大震災の現場において迅速で効果的な活動を行うためには、ＪＰＦの海外での災害支援のノウハウが大いに役立ちます。 弊社の寄託金も、そのような活動に有効かつ迅速に活用されるものと考えております。
細やかな支援を期待する時こそ、複数のNGOへふりわける能力に期待するテレビ朝日の判断はわかる。
もちろん、多数のNGOが参加していれば、困った団体がふくまれる可能性は高くなるだろうし、JPFの信頼性も問われる。しかし、どちらかといえばテレビ朝日よりJPF側の問題だろう。
さらに根本的な話として、日本政府や経団連までかかわっている団体が、なぜ寄託先に選んだだけで北朝鮮とつながる証拠にされるのか、疑問に思わざるをえない。支援している企業や団体は多数あるのに、公式サイトの紹介ページにテレビ朝日はふくまれていないくらい、関係は薄いのだ。
賛助企業・団体一覧｜国際協力NGOジャパン・プラットフォーム（JPF）
協賛リストを見ると、三菱、住友、パナソニック、ソニー、トヨタといった大企業の名前がつらなっている。米国企業のアメックスまである。
ちなみに株式会社はてなからも、事業開発およびマーケティング部の永野諭部長が監事として参加している。
役員一覧｜JPFについて｜国際協力NGOジャパン・プラットフォーム（JPF）
ドラえもん募金くらいで北朝鮮とつながっている証拠になるなら、日本の経済界は北朝鮮に支配されていることになる。
ざっと見てのとおり、むしろJPFは日本政府や経済界の肝いりだ。だから、天下りなどのため形骸化されているのではと不信感をいだくなら、まだ理解はできる。
しかしYAHOO!知恵袋や２ちゃんねる、まとめブログ、tumble、twitter、インターネットメディア等々でソースロンダリングされると、いつの間にかドラえもん募金だけが詐欺している証拠にされてしまう。
今回は「秒刊SUNDAY」が記事にして*2、各ニュースサイトに掲載され、２ちゃんねるに転載され、まとめブログに再び掲載されるという、あきれはてた状況になっている。発端をさぐってみると、２ちゃんねるで過去の書き込みがコピペされて拡散されたことにあるらしいが。
初めましてと言っておこう。, 【北朝鮮】ドラえもん募金詐欺の季節がやって来ましたので低評価ヨロシク！！！ ...*3
285: 本当にあった怖い名無し 2013/11/14(木) 21:27:59.80 id:ZdtCG2HH0
81 名前：名無しさん＠１３周年[] 投稿日：2013/02/23(土) 22:34:53.77 id:LBm8tMDo0 [2/11]
ドラえもん募金の約９割を大西健丞氏のNGO経由で北朝鮮に送金ってどう思います？
●【テレビ朝日】ドラえもん募金の約９割を大西健丞氏のNGO経由で北朝鮮に送金か。
「テレビ朝日では、平成16年12月28日から平成17年1月31日まで 「ドラえもん募金スマトラ沖大地震被災者支援」
を行ってまいりました。 皆様から寄せられた善意の募金88,760,300円にテレビ朝日からの寄付金2,500,000円を加
え、 募金総額は91,260,300円となりました。 このうち59,000,000円については、既に寄付を済ませておりますが、
残りの32,260,300円を日本赤十字社に寄付することを決定、2月17日に贈呈しました。 この結果、寄付先と金額は下記の通りとなりました。
募金総額 91,260,300円
ＡＭＤＡ 3,000,000円 3.28%
日本ユニセフ協会 3,000,000円 3.28%
日本赤十字社 3,000,000円 3.28%
ピース・ウィンズ・ジャパン 82,260,300円 90.13%
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1451772389
もちろん現地で活動するNPOに対して資金提供する事は必要です。 ただし、ジャパン・プラットフォームについては上記の事以外にもキナ臭さ満点なんです。
ジャパン・プラットフォームはピースウィンズ・ジャパンという団体（NGO）・経団連・外務省が共同で設立した団体
です。 このピースウィンズ・ジャパン、モンゴルでのNGO事業を巡って、外務省から必要以上の補助金を受けていたことが発覚し、 一時的に補助金差止めとなる措置が取られたという過去があります。
また、ピースウィンズ・ジャパンとジャパン・プラットフォームの設立に携わった大西健丞という人物についても、調べると怪しさ満点です。
ここでJPFの設立に外務省や経団連もかかわっていると認めていることが理解できない。たしかにJPFに疑問点があるとしても、ただ寄付金の一部を送っているだけのドラえもん募金よりも、先に日本政府へ責任を問うべきと思わないのだろうか。
だいたい見ただけでわかるが、YAHOO!知恵袋に転載されている数字は、どう考えても誤記でしかない。本文では3000万円以上を日本赤十字社へ送ったとあるのに、下のリストに書かれた日本赤十字社には300万円しかなく、桁がひとつ少ない。これでは算数以前の問題だ。
調べてみると、名指しされている大西氏のサイトにも各批判へ反論するページがあり、ドラえもん募金についても書かれていた。
チーム大西とは｜Team Onishi チーム大西（大西健丞）WEBサイト*4
実際は日本赤十字社への寄付額が、約90％であり、PWJへの寄付額は全体の約3％でした。
テレビ朝日は、すぐに誤りに気づき、ウェブ上で報告を訂正しました。
（訂正時のウェブサイトの掲載内容は下記参照）
たしかにドラえもん募金サイトが誤記していたことはたしからしい。それを批判するだけならいいだろう。しかし異なる数字の一方が正しいことを前提に、きわめて遠い関係の北朝鮮への偏見を利用して、募金を詐欺あつかいすることは、はるかに大きな問題だ。
また、たしかに過去に北朝鮮へ支援していたことと、その理由も書かれていた。
北朝鮮の食糧難は1995年から1998年まで約4年の間にとても深刻になりました。この期間に200万人以上が食糧難による飢えと病気で死亡したと推定されています。
国連WFP（飢餓と貧困の撲滅を使命に活動する国連の食糧支援機関）のプレスリリースにもその旨が記載されており、多くのインターナショナルメディアでも、その危機が、とりあげられました。
世界中の人々が集結して、まずは妊婦、子どもをたすけ、そして民間の人々を餓えから救う努力をいたしました。
その時に、ピースウィンズ・ジャパンも、食糧危機がもっとも深刻化した1998年6月、米60トンの食糧支援を行いました。
この決定にもちろん大西は賛成しております。
特に問題視する必要もないというか、どこの支援団体でもやりそうな内容にとどまっている。しかもドラえもん募金が生まれた1999年より前の話ではないか。実際の支援がうまくいっていたかどうかは別にして、北朝鮮の政治体制を支持している証拠にはならない。
このことだけをもって批判理由にする人は、苦しみにあえいでいる国民と、国家体制を同一視しているのだろうか。だとすれば、その国家と国民を一体とみなす思考こそ、むしろ独裁者と同じではないか。
ほとほと今回はあきれはてた。
何度もいうが、募金活動が適切かどうか監視することは正しい。正確には税金だが、『ドラえもん』でも「税金鳥」というエピソードがある。子供たちが協力する活動で新しい不公平感が生まれ、さまざまな不正もおこなわれ、子供社会が崩壊していった物語だ。
ドラえもん
もともと助けるつもりが逆効果になる展開は、『ドラえもん』の基本フォーマットだ。しかし、他人を助けることそのものを否定したり、善意に対して不信感を持つことを推奨しているわけでもない。
いわんや、虚偽を流布して支援の足を引っぱることまで正当化されるわけがない。
*1:受けつけていないわけではないが、それを考慮した募金システムになっていない。また、逆に東日本大震災などで通信状況が悪い時は、銀行振り込みに限定されたこともあった。
*2:疑惑段階に保留しているものの、「やはりこのような疑惑は慈悲活動の宿命なのだろうか」と是認するような結論で終わっている。http://www.yukawanet.com/archives/4572746.html
*3:『新世紀エヴァンゲリオン』の作画監督として知られるベテランアニメーターの鈴木俊二氏らしいアカウント[twitter:@moja_cos]が、真に受けて紹介しているツイートを見かけて悲しくなった。https://twitter.com/moja_cos/status/401499778371952640以前に使っていたアカウント「moja_co」が凍結されたりと、そういう人物とは知っていたのだが。ただ、アカウント凍結については業務上での都合との返答を、https://twitter.com/moja_cos/status/401744932479594497とhttps://twitter.com/moja_cos/status/401745394545078272でいただいた。他方で、「そういう人物．．．ってどういう人物ですか？」という問いに対しては、転載に転載を重ねた薄弱なソースを根拠にするような人物だ、と回答せざるをえない。また、まとめブログ等はエントリ本文で批判しており、その上で著名なアニメ関係者まで信用してデマ拡散にかかわったことを問題視した。https://twitter.com/moja_cos/status/401747491575447552
*4:引用時、文字強調を排して、画像位置を示す説明文の「右記」を「下記」に書きかえた。
