法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『マサカメTV』日本のアニメ 知られざるテクニック!

NHK総合で土曜夕方に放映されている情報バラエティ番組が、日本アニメの映像技法について紹介していた。
http://www4.nhk.or.jp/masakame/x/2013-10-19/21/26755/
氷川竜介の紹介解説による「板野サーカス」と、藤森雅也監督の実演解説による「中抜き」について、それぞれの表現としての効果を映像で見せた後、クイズ形式で手法を推測させていた。


板野サーカス」については、『マクロスプラス MOVIE EDITION』のクライマックス戦闘という今なお最高峰の映像を見せた後*1、「WEBアニメスタイル」等で板野一郎監督が述べたミサイルの個性付けについて解説。クローズアップで広角レンズを用いるという補足も入れていた。
WEBアニメスタイル_アニメの作画を語ろう
「中抜き」は藤森雅也監督が『忍たま乱太郎』のキャラクターを使って、28枚のラフ原画を作成。全ての原画を使った映像と、動きの中間となる原画を抜いてメリハリを作った映像を比べ、後者のスピード感が生まれた理由について語っていた。
手裏剣を投げる映像自体が、藤森雅也全原画という、けっこう貴重な映像である。あらかじめ抜く予定の原画でも、意図的に残像を描くブレを作画しており、スピード感は不足していてもアクション作画として良さがあったのは、番組の趣旨として良いのか悪いのか。事実、各原画を間近で見た出演者の一人が、クローズアップで手の残像がシュッとのびている原画を高評価していたりした。


なお、番組の最後で、日本アニメの演出傾向に能や歌舞伎との共通点をみいだす津田尚克監督の見解も紹介されていた。しかし、これは一般向けとしても説明が短すぎて、根拠が不足しているように感じた。
あくまで『ジョジョの奇妙な冒険』の第三部TVアニメ化情報にあわせて、「ジョジョ立ち」のビジュアルインパクトと*2、フランスでファッション業界とコラボレーションしたという権威を利用して、日本アニメにまつわる定型句をそのまま流した、といったところ。

*1:他に『エウレカセブンAO』の映像も使っていたが、字幕でシリーズ前作の『交響詩篇エウレカセブン』と混同してしまっていた。

*2:念のため、原作マンガの静止画としてのインパクトを強調しながら引用したTVアニメの演出に、日本アニメの独自な傾向を見いだすという語り口だった。原作マンガは絵画やデザインからの引用が多く指摘されており、「ジョジョ立ち」と呼ばれるポージングやデザインを日本のオリジナリティと単純に位置づけることは難しい。