法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『もぐらのアバンチュール』

TV放映を前提として制作されたアニメとしては日本最古の作品が、GYAO!で10月31日まで無料配信中。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00592/v12046/
わずか8分53秒の短編で描かれるのは、夢見がちな擬人化モグラを主人公にすえ、シュールな絵本のように空想の翼を宇宙まではばたかせた物語。一見の価値はある興味深い作品ではあったが、現在ならばNHK教育あたりで放映されるような作品。一般的にイメージされるTVアニメとは印象が異なる。
映像にしても、切り絵を動かしたかのよう。だが、たしかに静止画をおきかえることで動きを作っている「アニメ」ではあった。単発の短編とはいえ、1958年の時点でカラー映像なことにも驚かされる。波ガラスを用いたりした映像効果の多用も印象的だ。


なお、フィルムが日本テレビから発見されたのは今年の6月。アニメ専門のCATV局アニマックスと、「データ原口」の愛称で知られる原口正宏氏が協力し、存在が確認された。
http://www.asahi.com/culture/update/0616/OSK201306160118.html
有名な『鉄腕アトム』は30分放映の連続TVシリーズとして初だっただけで、先行する作品は複数あった。下記ページで、各作品を紹介する短いコラムを原口氏が書いている。
TVアニメ50年史のための情報整理第1回 1963年(昭和38年) TVアニメの時代が始まる | WEBアニメスタイル
『もぐらのアバンチュール』についての原口氏による詳細な解説は下記ページを参照のこと。
TVアニメ50年史のための情報整理番外編 『もぐらの アバンチュール』日本最初のカラーTVアニメの“発見” | WEBアニメスタイル
カラー映像の試験的な作品ということもあって、当時の新聞TV欄が確認されるまでは、制作はされていたとしても放映されたかどうか疑われていたという。