法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ETV特集』摩文仁 沖縄戦 それぞれの慰霊

6月23日、沖縄慰霊の日。さまざまな意図で沖縄各地にたてられた慰霊碑に、それぞれの思いで追悼する人々を追う。
NHK【ETV特集】摩文仁 沖縄戦 それぞれの慰霊 2013年8/31(土)夜11時、再放送:2013年9/7(土)午前0時45分(金曜深夜)


最初にできた慰霊碑のそばで、半世紀以上も献花を売りつづける女性。慰霊碑のモノクロ写真で残されている少女の姿。生活に直結する追悼行為。
本土復帰直後に公式参拝したが、反対を受けて一度だけにとどめていた自衛隊。しかし2004年から「私的参拝」と称して集団で慰霊におとずれるようになった。その側で自衛隊反対を叫ぶ運動団体。
二千人を超すともいわれている朝鮮半島出身の犠牲者の石碑。しかし記録も調査も不十分で、わずか四百人ほどしか名前が刻まれないまま。その状況が進展しないため、今年の式典参加をとりやめた韓国人遺族。
日米の協力関係をつくりあげた輝かしい歴史として沖縄戦を語る米軍兵士。戦闘で自己犠牲した米兵士の名前がつけられた在日米軍基地。
自決した日本軍司令官を追悼する遺族と、兵士の犠牲に哀悼をささげつつ首脳部は批判する元兵士。


さまざまな意図と時期からはじまった慰霊行為が、定着したり変化したりする姿が、淡々と映しだされた。だからこそ、さまざまな人々の想いを読み解く努力が視聴者に求められる。
戦争そのものは過去の歴史になったとしても、それを追悼し受容する風景は今そこにある。そして今後どのように歴史と向きあうか、私たちは未来にわたって問われつづける。