法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

靖国神社という霊言機関

遺族の意思をふみにじってまで顕彰する靖国神社と、死者の霊を呼んだと称して放言する幸福の科学とで、どれほどの違いがあるのだろうか。


これまで日本人遺族も韓国人遺族も台湾人遺族も、合祀をとりやめるように靖国神社へ求めた事例があるが、はねのけられてきた。訴訟を起こしても、裁判所に棄却されてきた。
そして今月22日、新たに27人の遺族が靖国神社に対して訴訟を起こしたという。
http://www.asahi.com/articles/TKY201310220201.html

 原告の1人で、兄が合祀された南英珠(ナムヨンジュ)さん(74)は提訴後に東京都内で記者会見し、「兄は日本人でもないのに強制的に徴用され、犠牲になった。合祀対象者から外して欲しい」と話した。同様の訴訟は別の遺族も起こし、2011年7月に一審・東京地裁で敗訴。23日に東京高裁で控訴審判決が言い渡される。

記事の末尾で言及されている判決が今月23日に出たが、前例どおりに控訴棄却だった。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-214247-storytopic-1.html

 旧日本軍に徴用され戦死した韓国人9人の遺族と、生存する男性(88)が、靖国神社に無断で合祀されたとして、国と神社を相手に合祀取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁(坂井満裁判長)は23日、原告全面敗訴の一審判決を支持し、遺族側の控訴を棄却した。 靖国神社の合祀をめぐっては、日本人戦没者の遺族が合祀取り消しを求めた訴訟や、韓国人遺族らが旧厚生省による靖国神社への戦没者情報提供の撤回を求めた訴訟で、原告敗訴が確定している。

http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013102301001455.html

 判決は一審判決の内容をほぼ踏襲した上で、「原告は神社の宗教的行為で感情を害されたことを問題にしているが、他者の信教の自由には寛容であることが求められる」と指摘した。

よく記事を読んでほしい。遺族だけではなく、生存しているのに英霊として合祀された本人も訴訟に参加している。本人の苦痛に対してすら、寛容であることを日本の裁判所は求めたのだ。
ちなみに、戦後しばらくたって生存が判明した著名人の場合、名簿からはがしたと靖国神社が説明したことがある。
歴史探偵、靖国神社に電凸する - 法華狼の日記
2002年にも、軍属2人から求められ、合祀をとりやめたことがあったそうだ。
生存韓国人の合祀取消しへ/靖国神社 遺族会の申入れに
しかし近年の靖国神社は、生きていた「英霊」自身から合祀をやめるよう求められてすら、拒絶するようになった。


一方で幸福の科学も、守護霊インタビューという形式で、生きている人間の内面を勝手に決めつけたり、名前を利用するようになった。
志位和夫・日本共産党委員長(守護霊)「権力の側に回ったら、自衛隊を日本共産党軍にする」 | ザ・リバティweb
大川隆法総裁 霊言「宮崎駿 アニメ映画創作の真相に迫る」が公開! | 幸福の科学 HAPPY SCIENCE 公式サイト
まだしも影響力の低い霊言は笑えるかもしれないが、日本国が後押しをしている靖国は笑うことすらできない。


もちろん靖国神社は、ただ故人を追悼しているわけでも慰霊しているわけでもない。
顕彰することで死者を美化し、美化した死者の権威を利用して自らを高める。
そうして死者を利用する循環がおこなわれている。
だから本人や遺族の意向は無視する。
それが靖国という機関なのだ。