これはアリだ。どこかで見かけたような要素を寄せ集めた、特に目新しさはないロボットアニメなのだが、背伸びしていない分だけ完成度が高い。ニコニコ動画のシステムを作中に取り入れたアニメ作品の中でも、うまく段階をふんで画面に溶け込ませることに成功している。
ロボットのギミックも、ちゃんと見せ場として成立しつつ、ダサいデザインから格好良くなる描写として見ばえがいい。『マクロスF』等のサテライト作品で活躍していたオレンジの3DCGもまずまずで巻き込むような爆発エフェクトは最新のエフェクト作画を思わせる*1。
主人公は、戦闘のため人工的に作られた少年少女だが、それが倫理的に批判されるべきことと自覚しつつ、哀れむような目線ではないところも好感が持てる。露悪的でも冷笑的でもない。ことさらコミュニケーション不全は描写しないが、それぞれ異なる思想を持ったキャラクターが相互に影響しあって、物語を動かしていく。
今のところ、吉田玲子脚本の良さが出ているように思う。残る不安は、敵キャラクターの人格を、どれだけうまく立たせて、物語を閉じていくかくらい。
*1:真空中の爆発で巻き込みが起こるのは科学考証としては間違っているが、見ていて快感ではある。
