法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『マツコ&有吉の怒り新党』の「新・3大○○」で藤子F短編特集

選ばれたのは、子供向けという一般的なイメージをくつがえす、ブラックな3作品。
はてなダイアリーで藤子主軸のブログをひらいているkoikesan氏も選定にかかわっていたそうだ。
「怒り新党」を観てSF短編に興味を持った方へ - 藤子不二雄ファンはここにいる/koikesanの日記

今回の「新・3大○○」、私が作品選定にかかわった段階では「結末が衝撃的な異色短編を選ぶ」ということでした。それにしたがって『コロリころげた木の根っ子』や『自分会議』を新・3大に推したのです。

今回の『怒り新党』で紹介された『コロリころげた木の根っ子』『自分会議』『間引き』は全て“異色短編”のカテゴリに入ります。結末が衝撃的だったり容赦がなかったり救いがなかったりする作品は、“少年SF短編”より“異色短編”のほうに多いのです。

藤子F短編を読む方法など、各種情報もよくまとめられている。
コメント欄を読むと、藤子F短編を知らない視聴者に限られた時間で紹介することも、やはり選定基準に入っていたようだ。

じつは『ある日…』も候補作の一つとしてディレクターさんにお伝えしていたのですが、この作品の面白さをテレビでうまく伝えるのはちょっと難しい、という思いは私の中にもありました。
やはり、異色短編の衝撃・凄み・面白さがテレビ画面で効果的に伝わる作品をセレクトする、というのは重要ですよね。

なるほど、『ヒョンヒョロ』の衝撃などは、実際に読んでみないと伝わらないかもしれない。
個人的にはブラックなオチに偏らず、『ノスタル爺』のようなドラマなども紹介してほしかったが、それも短い時間では雰囲気を伝えることが難しいことはわかる。


しかし、それでも少しばかり番組説明に不正確さを感じたりもした。細かく説明するとネタバレになってしまうが。
特に気にかかったのが、『コロリころげた木の根っ子』の説明。全てが計画的だったかのようにまとめるのは、わかりやすさを優先しすぎている。これはミステリにおける特殊トリックの一例で*1、必ずしも成功率は高くないことが要点なのだ。
タイトルの元ネタとなった童謡、そして中国の故事から考えると、そもそも計画が成功するとは考えにくい。底知れぬ思いが顔をのぞかせつつ、出口のない関係性が永続しそうだからこそ、最後の1頁が恐ろしく感じるのではないか、と思うのだ。

*1:近年に発表されたミステリ連作短編に、ほぼ同じトリックと人間関係の作品があることを知っている。