法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『エウレカセブンAO』第十三話 シーズ・ア・レインボウ(episode:13 moonlight ship)

作画監督として吉田健一が連名でクレジット。実際、OP後からエウレカとアオのやりとりを描く場面で、絵柄に特徴が出ている。立体的な正確さをあえて少し崩した柔らかい描線が心地良い。
月光号の上で展開されるアクションも良い。独特の形状が位置関係をわかりやすくし、複数の意図がいりみだれる場面でも混乱せず、心情の衝突に興味が向く。


物語としては、過去にエウレカがもたらした知識が、時間移動で情報がループしていただけという真相は、大長編の『ドラえもん』みたいだ。逆にいうと、過去のエウレカがもたらした知識と矛盾する真相が存在するならば、その情報が開示されるより前に若いエウレカは物語から退場するはず。
もちろん、今回の時間移動は真相開示の説明だけで終わらない。過去のエウレカに救われた大人達が、今の何も知らないエウレカを守ろうとする、その善意のキャッチボールがドラマとして心地良くもあった。同時に、現在は天真爛漫な妊婦のエウレカだが、物語の序盤を思い出すと母として苦難の道を歩むことが示唆され*1、ほがらかな場面でも背後に緊張感があって、それも物語の行く末へ興味を引く。
あと、日本軍側の男が主人公からエウレカを連れ出そうとする存在なようでいて、本当に身をていして守ろうとするところが、前作から今作の変化であり、會川昇脚本の変化なのだろう。結末の情景が劇場版のハップに似ているところは意図的なのかどうか*2、ともかくこれも過去シリーズとの違いを際立たせた。

*1:ただし、並行世界の別人という可能性はある。

*2:京田監督も連名でコンテにクレジットされているが、どこを担当したかは不明。