法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ZETMAN』第1話 未熟な感情

ジャンプ系のダークヒーロー作品が原作で、鍋島修監督によるトムス制作作品という布陣は『D.Gray-man』に通じるところがある。初回の作画監督を手がけた岩佐裕子も『D.Gray-man』で活躍していた。
そこへさらにキャラクターデザインを手がけた高谷浩利*1と、その関係があるスタッフが加わって、映像面ではかなり充実。映画『虹色ほたる』をひかえている森久司が路地裏の格闘原画で参加するというサプライズに、クライマックスのアクション作画を阿部望がそつなくこなし*2、アクションアニメとして見所あった。


物語については、アニメ化に際して構成要素を組み直して詰め込んでいるらしいが、原作を未読なこともあってか気にならない。
まず、主人公を導く老人が消えた悲劇は、とおりいっぺんな描写ですまされた。しかし、充分な教育を受けられないホームレスであることが、老人が消えた後に長々と迷走する主人公という描写につながり、滑稽と裏腹な哀しみを描けていたと思う。
そして新しく主人公を導く人物の多面的な魅力を、初回をとおして入念に描き、その結末の美しさには胸にせまるものがあった。そのまま移行したEDが、もう少し余韻を感じさせる内容であれば、ベストだったのだが。

*1:初回のコンテも鍋島修監督と共同で手がけた。

*2:どちらの担当カットも推測だが。