法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ラストエグザイル-銀翼のファム-』#21 Grand master

吉村清子脚本に千明孝一監督コンテ。二回の総集編は話数に計上されていないため、今回で完結。


最終決戦に入ってから不満点も色々あったが、何とかうまく着地できたと評価したい。
特にグランエグザイル周りの設定が良くて、一回撃つごとに使い捨てる上に穴が空くという主砲についても納得のいく説明がなされた。その主砲の正体に、ルスキニアの夢と挫折が象徴され、グランエグザイル自体の崩壊も美しく演出された。
残った尺が少ない中で、後日談を落ち着いた雰囲気で描写した演出力も素晴らしい。静止画を利用して、最後の最後につけたオチで、重厚な世界観を持つ作品のリアリティと、娯楽作品らしい後味の良さが両立された。


総評としては、後半に入って映像リソース不足が目についたこと、終盤のクーデター後にいったん休戦する流れが強引だったことで、全体の印象も悪くなってしまっていることが難。制作状況は想像するしかないが、少なくともクーデター周りはシリーズ構成の必要性に従うより、前後との繋がりの自然さを優先するべきだったと思う。
しかしシリーズ続編ながら最近では珍しい重厚なSFファンタジー設定をオリジナルアニメで提示し、パロディで逃げたりすることもなかったことは拍手したい。毎回のようにカタルシスやキャラクターの見せ場を配置したこと自体も、娯楽としては良かったと思う*1
戦闘では設定を活用した戦術に基づくことが多く、好感を持てるキャラクター、納得できる真相開示も様々あって、見ている間は楽しめた。総体としては意欲的かつ奮闘の結果を見せられた作品だと評したい。

*1:むしろクーデター休戦は、主人公が活躍するカタルシスを見せたいがために強引になったと見るべきか。