法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『輪るピングドラム』21st station 僕たちが選ぶ運命のドア

1クール目は主人公達を他人が介入して引っかきまわす話と見せかけていて、特にリンゴちゃんが最大最狂の介入者と思われた。それが実は視聴者視点のキャラクターとしてリンゴちゃんを印象づけさせて感情移入させるための、長い長い助走だったわけか。
いわばリンゴちゃんこそが、最も真実や情報から遠い場所にいたからこそ世界にあらがうため最も奇矯な行動を取っていたわけで、つまりこの作品が提示する「きっと何ものにもなれない」者の象徴であったと。逆にいえばリンゴちゃんの現時点での状況が、この作品の行く末を暗示していると思われる*1


どんでん返しの一つは幾原邦彦監督が過去に映画作品でも見せていた古典的な内容だが、今作は連続TVシリーズであるためか伏線らしい伏線はなし。かわりに「幽霊」と台詞で出しつつ、いったん別のキャラクターの真相を指している言葉かと思わせていた。世界観を伝える前ふりと引っかけをかねた、一石二鳥の真相開示だった。
それにしても、幻覚もしくは比喩表現としか思えないことこそが作中の現実で、解かれるべき謎に思えた場面こそ幻影であったという転倒は、京極夏彦作品っぽいな。

*1:すでに最速放送では最終回をむかえているが、それらの情報は全く見ない上での感想。