法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

毅然とした態度しか外交カードを持たない政治家の能力

一方で先日の金正日死去について、小泉純一郎元首相が朝鮮総連へ弔問しに行ったという報道があった。思えば小泉内閣は、北朝鮮との関係が強行一辺倒ではなかったがゆえに、一定の進展を見たことは確かだった。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/12/22/kiji/K20111222002295470.html

 北朝鮮金正日総書記の死去を受け、小泉純一郎元首相が22日、東京都千代田区在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)中央本部を弔問に訪れた。

 朝鮮総連によると、小泉元首相は午後3時半ごろ訪問。講堂に置かれた金総書記の肖像画の前に赤いカーネーションを献花した。滞在時間は5分程度だったという。

 小泉元首相は2002年9月と04年5月の2回訪朝し、金総書記と会談。北朝鮮が死去を発表した19日、都内で記者団に対し「心から哀悼の意を表したい」とし、「元気なうちに日朝正常化への道筋を付けたいと思っていたのに残念だ」と述べていた。

もちろん、小泉元首相も拉致被害者を帰国させるまでは複数の外交カードを使いつつ、帰国時に日本へ留め置くという毅然とした態度で、後の外交カードを封じてしまった。毅然とした態度という外交カードの威力を身内へ過大評価させる原因にもなった。しかし、自分がカードを切った時に最大の利益を得られる瞬間を読む目、以降の負けを見こして早々と場から降りた逃げ足は、政治屋としては見事だったと思わざるをえない。
安倍元首相など、経済制裁という残った外交カードを全て同時に使ったため、勝負を長引かせることもできなくなってしまった。そして毅然という外交カードの威力を望む身内のため、病気で不戦敗になるまで場から降りることすらできなくなった。


一方で、日本大使館前の従軍慰安婦像について、石破茂自民党政調会長がブログで下記のようなことを書いていた。
問責の意味: 石破茂(いしばしげる)ブログ

 昨日ソウルの日本大使館前に設置された「(所謂)慰安婦の像」につき、今週末にも予定されている日韓首脳会談において、野田総理から李大統領に対しその撤去を求めるべきである旨、官房長官外務大臣に申し入れて参りました。
 この問題は極めてデリケートなものですが、条約の解釈権は双方にあるとはいえ、「日本政府としてウィーン条約第22条第二項に定められた接受国の義務に抵触すると考えるので撤去されたい」と申し入れるのは当然のことであり、既成事実化させることは断じて避けなければなりません。
 自民党政権時代も厄介な問題ではあり、国連人権委員会のペーパーなどに明白に反論せず、いわば「泣き寝入り」してしまったことにも遠因があるように思われますが、日韓首脳会談において、野田総理が明確な姿勢をとることを願ってやみません。

従軍慰安婦問題に対して毅然とした態度が外交カードになると思っているままであれば、今後の石破議員は外交にたずさわることをさけなければならないだろう、純粋に政治能力の問題で。
撤去を願うまでは野田首相も同様だったが、さすがに「国連人権委員会のペーパーなどに明白に反論」まではしないと思いたい。