法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ ブレイヴ』第44話 背徳のXレア 蛇皇神帝アスクレピオーズ

しばらく雌伏していたザジが、無名の別人のふりをして主人公達へバトルをいどむ。あえて勝利後に何も要求せず、あたかも魔族側の下層階級から立ち上がった革命者であるかのようにふるまう結末が、詐欺師キャラとして政治劇として面白かった。
ちょっと服装を変えたくらいで別人と思ってもらえること、そしてカードバトル戦術のようなあやふやな根拠で同一人物と疑われる描写は、アニメのお約束なので好悪がわかれるかな。ただ、普段のザジが常に仮面をかぶっていたため、素顔をさらすことが変装になるという逆転は面白い。シャア・アズナブル的と考えれば、サンライズ作品らしいといえる。


魔族の長として融和派への理解を示し始めたバローネを打ち倒し、融和派の共同会見を台無しにして、魔族の鬱屈を掘り起す流れ自体も良かった。カードを強奪した魔ゐへの疑念を晴らしたり、洗脳されていた男が仲間へ戻り家族の絆を取り戻すような、前回までの展開を受けて融和派が優勢になる描写を前半にしっかり入れているから、再び民族間の対立が激しくなりそうな展開の不穏さが増す。
ただ、前回の魔ゐによるカード強奪については、何らかの意図があるのだろうと推測できる雰囲気にはしているものの、強奪の理由自体は説明しないまま。制作者の都合だけで説明を先のばしにするのは好きになれない。せめて、今は理由を明かせないと魔ゐに語らせる描写は入れないと。