法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ ブレイヴ』第26話 人間と魔族のはざまで

カードバトル描写はなく、これまでに登場した者たちがそれぞれの思惑を持って動きつつある姿を描く。繋ぎ回だが、印象は悪くない。


主人公との会談以降に動きのなかった魔族の女王が、主人公やそのライバルと深い関わりを持つ魔族の少女に接触する結末が地味に良かった。お飾りなりに信頼できる部下も確保して、事態を動かそうと女王も努力していることを、台詞にたよることなく簡潔に描いた。
そういう女王側の動きを、反目し始めた諸侯も何となく感づいている描写が、また良い。様々な登場人物が限られた情報の基で頭を使って動いており、ちゃんとキャラクターが作品世界に息づいている。


自身が見下していた人間と同じ種と知り、我が身を呪う台詞を吐いて、実際に自らの胸へ爪を立てるバローネの葛藤も印象深かった。全く善人ではないが主人公のライバルであり、強いカードバトラーであれば人間も高評価してきたキャラクターだけに、しょせん帝国主義者の余裕にすぎなかったと明かされる描写が重い。
もちろん主人公と言葉をかわしてカードバトラーとして再起するが、人間を認めてきたバローネでも苦しむ姿から、他の魔族が真実を知った時の混乱を予期させ、緊張感を残した。人間と魔族が同じ種という情報を主人公は隠さなければならない展開の、説得力ある理由説明描写としてもすぐれている。