法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ ブレイヴ』第16話 ローマの落日 俊星流れるコロッセオ!

今回は主人公側の事情はそこそこに、ローマの支配権をゆずることになったバローネと、謀略で支配権を手にしたザジのドラマが描かれる。その2人の魔族を結ぶドラマのため、支配されているローマ人ザックがカードバトラーとして登場する……
カードバトルにしか興味がないため、逆に支配者としては強圧さがなく、名誉白人的なザックから一種の尊敬を受けているバローネが面白い。被支配者からの支持を積極的に得ようとは考えないザジの、狡猾なようでいて状況を混迷させるばかりの小悪党ぶりもなかなか。ザックもバローネに従っているわけではなく、魔族の支配から脱しようとしてバローネへの挑戦をくりかえし、ザジとバトルするため頭を下げる屈辱を甘んじて受ける。三者三様の性格が、そのままカードバトルへの姿勢としても表現される。
真面目な話、けっこう侵略と被侵略の複雑な関係性を描けているアニメだと思う。


一昔前の主人公と似たバトルを行うザックに対し、口先三寸で翻弄するザジ。しばらく人間のカードバトラーはダンばかりだったので、今回の一味異なるカードバトルが楽しい。
形成が二転三転しつつ、終わってみればバトルの流れが明快なので、運試しではなくて、ちゃんと戦術の優劣が感じられるところもミソ。作戦を立てられる前に速攻で倒そうとするザックに対し、デッキ構成を誤解させてザジが勝利をつかむ。ザックの姿勢がダンに似ていることには、ダンに対するみじめな敗北ばかり印象に残しているザジが相応に強いことを示す意味もあった。