亀山薫は女子大生探偵の大門寺寧々に再会し、かつて杉下が大学のサークル誌に寄稿した推理小説について教えてもらう。大門寺は大学の図書館の推理小説にネタバレが書きこまれている事件を追っていた。
自作を抹消したい杉下は、ネタバレを書きこむ軽犯罪について調べるという理由で、大学に向かう。そして図書館内で痴漢としてとりおさえられた青年が、実際はネタバレ犯の女性を止めようとしていたことを指摘するが……
メインライターだった輿水泰弘の脚本で、同じ脚本家による2023年の元日スペシャル*1のゲスト名探偵が再登場する。
輿水脚本はストーリーに古臭さや無茶さを感じることは多いし、スペシャル回をまかされる時は内容の薄さばかり印象に残りがちだが、推理のロジックなどで本格ミステリのエッセンスを見せることは時々あり、今回のように1時間枠での変化球ならば楽しめることもある。
今回も事件そのものは小さいが、とある短編ミステリを思い出させるシチュエーションだし、見当をつけやすいながら衆人環視のなかでネタバレが書きこまれるトリックもあり、けっこうミステリ趣味は味わえた。
かつて大門寺を「先生」と呼んで、したっていた自称「熟年探偵団」は、アイドルにはまったという説明で再登場しないが、その描写が真犯人の動機についての地味な伏線とも解釈できる。はっきりいって愚かで醜い動機ではあるが、この動機もまた前回*2と同じように名探偵の存在そのものが事件を生み出すミステリのパターンであり*3、ジャンルらしさを感じられたので印象は悪くなかった。