法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ハートキャッチプリキュア!』第45話 もうダメです…世界が砂漠になりました…

これまで砂漠の使徒による侵略は冗談みたいな作戦も多く、足踏みをしながら遅々として進まなかった。
それが今回の前半で、砂漠の王デューンが到着した途端に全世界砂漠化という急展開は、どうにも積み重ねを無視しすぎていて台無し感がある。これまでも『プリキュア』シリーズでは多用された描写ではあり、今回はサバーク博士以外の配下が顔を出していないので次回予告から見ても敵側が積み重ねたドラマを描くのだろうと期待はできるのだが……
一方、後半で全世界砂漠化に絶望していたプリキュアが、これまで助けてきたゲストキャラクターの元気な姿ではげまされる展開は良かった。ここで登場するゲストキャラクターの多さ多彩さが、そのまま積み重ねた物語の厚みであり、プリキュアが再起する説得力を高める。
そのまま襲ってきた敵を返り討ちにしたプリキュアは、宇宙に浮かぶ敵城塞へ乗り込み、戦いを始める。……まさか1話でここまで物語を進めるとは予想していなかった。


主人公が成長して、戦う目標を明確化するというシリーズ構成上の要所は押さえているが、残り話数の少なさにあせっているようにも感じる。
よくいえば複雑な芝居を必要としないシンプルな脚本だから、映像リソースを節約できたのかもしれない。それでも全世界砂漠化の早さには、もう少し描写を足してほしかったところ。


今回の作画監督は奥山美佳。開けた口がハート状になるので、EDクレジットを見るまでもなくわかる。スペシャルな原画が入っているわけでもないので、敵首領の初戦闘回としてはアクション作画が低調気味。
しかし低調な作画を補うように見せ場を作る黒田成美コンテが良かったので、全体として映像がよく保てていた。砂漠化した世界も、背景美術の手間を削減することに繋がっているだろう。
まず、デューンの戦闘には作画枚数を割りふり、きちんと殺陣を見せているかに思わせて、倒されたプリキュアが気絶することで以降は動かさずにすむ。中盤の全世界砂漠化は背景のみの止め絵多用で処理しているが、最初に名も無き外国人の芝居を入れて世界規模の出来事と印象づける。後半のアクションは敵に巨大感が出る構図を選び、プリキュアの攻撃は光の軌跡と使い回しを活用。敵をあっさり倒す手抜き描写も、以前は苦労した敵*1が相手なので、人々の応援の力とプリキュアの成長を示す演出となる。
少年が老婆をお姫様抱っこしたり、巨大妖精にキュアマリンが乗っかったり、見ていて面白い絵も多かった。