大学を卒業したばかりの篠宮優のところに、ライアーゲームの招待状が送られてきた。1憶円の利益と罰則を餌に、ゲームをするよう追いこんでくる。そこで篠宮は大学講師の秋山深一に相談する。
その他の招待者もあわせて広大な廃墟につれてこられた20人は、優勝者にのみ20憶円の賞金があたえられ、敗者には1億円の借金が負わされるイス取りゲームを指示される。かつてライアーゲームで勝利して運営に損害を与えた秋山だが……
2012年の日本映画。甲斐谷忍の原作をTVドラマ化したシリーズが完結した後に、延長のように作られた劇場版2作目。監督はドラマシリーズや劇場版1作目につづいて松山博昭が担当。
過去のゲーム参加者が集められた同窓会的な作品だが、ゲームを攻略する秋山こそ俳優ごと続投するものの、助けられる主人公などのキャラクターは一新されている。
キャラクターは別として、映像作品としては良くも悪くもTVドラマの劇場版。
緊張感を高めたい場面では、大仰な効果音とBGMを鳴らして短いカットでポン寄りする。期待とは違った結果が明かされたら奇声をあげる……そんなTVドラマの演出をそのままやっていて、映画作品を見ている気分がしない。それがファンに期待されている作品だとは思うし、もともとTVドラマもほとんど見ていたので残念とまでは思わなかったが。
しかし本筋は、デスゲームではなく高額な金銭のやりとりだからこそ降りる選択肢が面白味を生むシリーズといえ、最終的に誰もが最初に気づくだろうリスク分散で終わったのはどうかと思った*1。プレイヤーをゲームさせるための運営の工夫が足りない。絶対に誰かが借金を負うリスクがあるか、デスゲームでよくあるようにプレイヤーに運営の手先を入れるくらいはしないと。
イス取りゲームの実態について、賞金とひきかえるためのコインを分配して協力するゲームと再解釈する展開は面白いが、そこから始まる騙しあいが厳密なかけひきではないところも良くない。他人が合理的に動くことを前提としているのに、何が合理的なのか理解できない人間も多いし、合理的に動かない人間も複数いる。もうちょっと秋山の勝利が薄氷の上でなりたっていることを自覚的に描いてほしかった。
また今回の主人公の篠宮は、早々に見つけた椅子を隠して出歩く序盤から理解できず、話の都合で動いているような無理を最後まで感じることになった。
まず序盤は、一度座ったイスは次の次まで座れないというルールがあるから他のイスも見つけておきたかったにしても、出歩いていた時にイスを見つけて動かしたと嘘をつかれて確認しに戻ってしまうまでは許すとして、実際はイスが動いていないことを確認してまた出歩こうとする行動が無理を感じた。人間心理からしても、見つけられたかもしれないと不安になっているなら、その回はイスを確保することを優先するのではないか。
さらに作中でも偽善者と糾弾されるとはいえ、助けてくれた秋山を途中で裏切る展開も心理的にフォローしづらい。一応は不安になったところを他人にそそのかされた結果ではあるが、その後の裏切り展開を主人公側がいっさい非難できなくなってしまう。もちろん落度から回復する主人公を描くタイプの物語もあるが、二転三転するゲームの性格上、中盤で裏切った直後に転落して反省する拙速な展開にならざるをえず、主人公は成長したというより私益のため裏切りをやめただけに見えてしまう……
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