二課にいる陣川が連続窃盗事件を解決して表彰されたという。特命係に来た陣川自身の説明によると、時計という共通点から同じ時計店で修理していることをつきとめ、その修理で情報をえて窃盗をおこなっていたと推理したようだ。
しかしその推理は陣川自身がおこなっていたのではなく、ニューヨークでレコード会社につとめながら警察の仕事がしたくて転職した速水了子という女性によるものだった。総務部に配属されて捜査にかかわれない速水は、陣川とふたりで特調係なるコンビを組んで勝手に事件の捜査をしているという……
さまざまな脚本家が自由に使ってきた陣川という男を、今回は川崎龍太脚本に橋本一監督という組みあわせで見せる。
前回*1につづいて若い女性名探偵がゲストで活躍するわけだが、今回のほうが推理描写は充実していた。あまりロジックは厳密さを感じさせず、演繹的に飛躍して真相を推測していくが、連続窃盗のそれらしい推理を皮切りに模倣犯の捜査から密室の転落死につながり、過去と現在ふたつの事件をそれぞれ推理。さらに速水という名探偵に隠された裏まで杉下が推理する。
密室からの転落死は古典的すぎる物理トリックで、写真で見てわかる道具の痕跡を鑑識が気づかないとは思えないものの、陣川回らしい気軽な雰囲気で許せる。
意外と良かったのが真犯人で、ドラマにおける重要人物のどちらかだろうと予想していたので、完全に意表をつかれた。残念ながら転落死した男との関係性の手がかりは、物証も肉体的な特徴も特殊な知識にたよっているものの、杉下の推理によって現場から消えたのは音楽関係のトロフィーだろうと意識が誘導されていたので、おおかた被害者の女性が男と個人的な関係をもっていたパターンだろうと思っていた。
他にも、陣川と速水が捜査しているところをその女性が立ち聞きしているような描写が前半にあったり、後半から速水とその女性の因縁が暗示されたりして、おそらくスタッフは女性が自作自演のように盗難させたと視聴者に錯覚させようとしており、だとすれば相当に成功していた。この誤誘導がスタッフの意図したものでないのであれば、それはそれで逆にすごい。