法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』子犬イチの国 キボウ編

まず、どうでもいいといえばどうでもいいことだが、王国を建設したイチが大統領という設定はどうなのだろう。
http://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/contents/topics/backnumber/0228/top.html

それどころか、王国の大統領になっていたイチにハナシをしようとして、とらわれの身に…!

いや、そういう国家もありはするが、普通に共和国という設定でいいだろう。


それはさておき、脚本は前回に引き続き大野木寛で、コンテ演出は安藤敏彦。
どうもバタバタするばかりで見所が分散してしまっている。のび太達の警告が王国人に信用してもらえるかどうか、変動をくりかえす地上から脱出できるか、のび太達が元の時代に戻られるか、のび太達を助けたイチがきちんと脱出できたか、同じような危機が短い時間に連続し、結果としてどれも印象に残らない。時間の少なさは危機の乗り越え方の安易さにも繋がっている。
結局、順番におとずれる危機と感動を段取りで通りすぎていくだけにしか感じられなかった。子供視聴者は定期的に危機がおとずれないと緊張がとけてしまうそうだし、ゴールデンタイムのTVアニメとしては間違っていない作りなのかもしれないが……いわゆる「おおきなおともだち」としては、どの危機をクライマックスとするか選び抜き、キャラクターの情動に起伏をつけてほしかったところ。
野良だったころの記憶が王国人に残っているというアニメアレンジは面白かったし、そこから人間のび太を恐怖し嫌悪し、警告を信用しない理由に繋がる展開は悪くない。その関連で、のび太とイチの「キズナ」を象徴している首輪が、他の王国人には嫌悪の対象となる皮肉も良かった。このアレンジ展開をクライマックスにすれば、アニメ版ならではの展開として楽しめたかもしれない。原作通りなオチとは少し繋がり悪いが……そこを逆手にとって、顔だけ似ていると気づく王国人の描写をいれて、結末の伏線を引くこともできたかもしれない。