法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ほめればのび太も芸じゅつ家/右か左か人生コース

前後半ともに鈴木孝義がコンテ、遠藤良恵が作画監督
ギャグを映像で激しく誇張しているものの、巧いという感じはなく、映像的な見所とは感じられなかった。印象に残ったのは、前半で壁に描いた落書きをめぐって背景動画が使われたこと、後半で時間経過を飛ぶ鳥の遠景で表現したことくらい。
作画も全体的に低調で、特に後半が甘い。


物語も、原作から展開を変更し、やや主題も異なっている。今週は中編にふくらませる必要はないと思ったのだが。
「ほめればのび太も芸じゅつ家」のオチは、街角で看板を描く風景が珍しくなったため、変更されたことは理解できなくもない。秘密道具を使わなければ看板絵が芸術として扱われないという内容と読みかえることができるオチでもあり、ともすれば職業に対する偏見と受け取られる危険も高い。だが、寝小便描写も現在は自主規制の対象ではなかったろうか。リニューアル初期に原作から該当描写が変更がされたこともあり、今回にわざわざ寝小便へ変更したことには釈然としないものを感じた。評論家が誉めればくだらないものでも評価されるという原作の皮肉を、もっと強調するオチはあったと思うのだが。
「右か左か人生コース」は、ストーリーどうこうというより、クライマックスがアニメ的に激しく誇張されているため、リアリティが薄れている。単にリアリティが薄れるだけならいいが、リアルで説得力あるドラえもんの説教でのび太が改心した結果としてのクライマックスだ。くだらないオチを強調するためにも、ここは世界観から外れない程度のリアリティを確保してほしかった。